『トランスフォーマー／ビースト覚醒』製作：ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ　映画史上誰もやったことがないことをやる【Director’s Interview Vol.337】

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2023.08.02香田史生

映画史上誰もやったことがないことをやる

Q：プロデューサーとして数々の大ヒットシリーズを手掛けられていますが、映画の企画を決める際、どんなことに重きを置いていますか。

ボナヴェンチュラ：最も大事なことは、個人的に何にワクワクするかということ。私は、人間が途方もない状況に置かれたときのリアクションが好きなんです。そういう立場に置かれた人間がどう反応するのか、観客も同じ目線で、途方もない状況に置かれた自身を体験できる。ストーリーにしても映像にしても、私はそこにワクワクするんです。

次に大事なのは、映画史上誰もやったことがないことをやること。『トランスフォーマー』の1作目に着手したときは、あれだけの規模のロボット映画に真っ向から取り組んだものはそれまで無かった。また、『1408号室』（07）という小さなミステリー作品を手掛けた時も、劇中のほとんどがホテルの1室の中だけという、チャレンジングな企画だった。そういった今まで誰もやったことが無いものに惹かれるんです。

逆に、絶対やりたくないものもあります。それは、成功した映画のパターンを見て「こうやると当たるんだ、では同じように作ろう」ということ。それだけは絶対にしません。それって、非常にシニカルな目線で映画を見ている。映画とはもっと純粋に楽しむものだと思うんです。

Q：最後に日本の皆さんにメッセージを。

ボナヴェンチュラ：『ビースト・ウォーズ』シリーズは日本でもファンが多い作品だと聞いています。今回満を持してビーストたちが登場するので、日本の観客の皆さんもぜひ楽しんでほしいですね。数年前に『G.I.ジョー：漆黒のスネークアイズ』（21）という映画で、日本で大規模なロケを行いましたが、そのときの体験は本当に素晴らしかった。また何かの企画で日本で撮影したいと思っています。この作品が日本で大ヒットにしてくれたら、次の『トランスフォーマー』を日本で撮ることもあり得るかもしれません⁉︎　皆さん、ぜひぜひ応援してください！

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製作：ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ

ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラは、ハリウッド史上最大のフランチャイズのいくつかをプロデュースしてきた。映画スタジオの重役としてキャリアをスタートさせ、最終的にはワーナー・ブラザースの社長に上り詰め、在任中に130本以上作品を手がけた。「ハリー・ポッター」や「マトリックス」のフランチャイズをワーナー・ブラザースにもたらしたほか、『フォーリング・ダウン』（93）、『評決のとき』（96）、『スリー・キングス』（99）、『アナライズ・ミー』（99）、『パーフェクトストーム』（00）、『オーシャンズ11』（01）、『トレーニングデイ』（01）などが、商業的にも批評的にも最も大きな成功を収めた。2002年、ワーナー・ブラザースを退社し、ディ・ボナヴェンチュラ・ピクチャーズを立ち上げ、以来、40本以上の映画を製作、世界興行収入は70億ドルを超える。ボナヴェンチュラは、「トランスフォーマー」、「GIジョー」、「RED」フランチャイズのプロデュースで知られており、今後の作品としては、ジェイソン・ステイサムとウー・ジンが出演するシリーズ2作目『MEG ザ・モンスターズ 2』（23）、ソニー／マーベルのダコタ・ジョンソン、シドニー・スウィーニー出演『MADAME WEB（原題）』（S・J・クラークソン監督）、ジョシュ・クーリー監督、クリス・ヘムズワース、ブライアン・タイリー・ヘンリー、スカーレット・ヨハンソンが声優として参加するアニメ映画『Transformers One（原題）』を予定している。

取材・文：香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ　魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。