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感情と絆を如何に描くか? 超大作シリーズに新たな魂を吹き込んだ『バンブルビー』脚本家×監督のバトンリレー

感情と絆を如何に描くか? 超大作シリーズに新たな魂を吹き込んだ『バンブルビー』脚本家×監督のバトンリレー

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超大作シリーズに新たな発想をもたらした女性脚本家



 これまでのシリーズとはまるで違い、この映画には柔らかな感触と穏やかな温もりがあるーーーそれが最初の率直な感想だった。


 筆者はマイケル・ベイが心血を注いできた映画版『トランスフォーマー』プロジェクトを真っ向から否定する者ではないし、むしろあのようなバーベキュータイプの作品を楽しむことも映画鑑賞の醍醐味だと思っている。しかし、あれはあれ。これはこれ。両者は同じ題材を扱いながら、まったく異なる方向性を持った映画となった。


 同時に『バンブルビー』を観ながらひしひしと感じるのは80年代文化への深い愛情だ。さも大人になった作り手が、自らの育った時代を振り返って「ありがとう」と感謝を告げているかのような、80年代愛が詰まっているのである。昨年の『レディ・プレイヤー1』でも流れたTears for Fearsの「Everybody Wants to Rule the World」をはじめ、サントラに詰まった音楽からも、その愛情の深さがうかがえる。



 マイケル・ベイが『トランスフォーマー 最後の騎士王』(17)の製作に向けて奔走する中、『バンブルビー』の構想は突然変異的に生まれてきた。若きヒロインと一体のトランスフォーマー、その感情や絆を描いた珠玉のストーリーを考案したのは、女性脚本家クリスティーナ・ホドソンだ。


 彼女は元々、映画会社で脚本発掘や企画の開発を担っていた人で、脚本家への転身後は数々の作品がブラックリスト(ハリウッド関係者が選ぶ、まだ映画化されていない優秀脚本リスト)入りするなどして一躍業界内の注目を集めることに。そんな手腕を買われて『トランスフォーマー』シリーズの脚本開発に携わるようになったという。


 こうした経歴ゆえ、ホドソンがもたらした原案は最初の時点ですでに即効性の高いものだった。それは一言で言えば「少女と、初めての車の物語」。「初めての車は、自由と責任と、大人になることの象徴でもある」と彼女は言う。ロボット映画の中で、かくも普遍的で通過儀礼的なテーマを情感豊かに描くことができたら————製作者たちはこのアイディアにたちまち魅了され、従来とは全く違うロボットストーリーが具現化に向けて動き出すことになる。




 舞台はまさに「トランスフォーマー」シリーズが誕生した80年代。ホドソン自身、80年代に子供時代を過ごし、ザ・スミスを始めとする様々な音楽を一杯に浴びてきた人でもある。さらに数々のアンブリン作品や、『ブレックファスト・クラブ』(85)や『ロストボーイ』(87)などの青春グラフィティとも言える作品にも心奪われ、VHSテープが擦り切れるほど鑑賞したそうだ。


 だが、80年代当時の彼女には大きな不満もあったという。これらの冒険やアクションの主軸を担うのはいつも男の子ばかりで、女の子といえば、おとなしく車の助手席にとどまってばかり。この固定観念、規定路線をずっと覆したかった。女の子がロマコメばかりに心奪われるなんて大きな誤解で、自分のように冒険モノやアクションや爆発シーンが大好きな子もたくさんいるはず。きっとそのような強い想いが基礎となって、彼女は脚本家になったのだろう。


 そして、ついに絶好のチャンスが巡ってきた。彼女は「女の子が自らハンドルを切り大冒険に繰り出す」という念願とも言える構想を、『バンブルビー』にて思いっきり炸裂させたわけである。



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