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スピルバーグの自伝的SFファンタジー『E.T.』着想の裏側とは?

スピルバーグの自伝的SFファンタジー『E.T.』着想の裏側とは?

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大きなスクリーンで体感すべき歴史的名作



 私事で恐縮だが、つい先ほど近くの劇場で開催中の「午前十時の映画祭」にて本作『E.T.』(82)を鑑賞し終え、この原稿を書きながらも童心に戻ったかのような浮遊感が止まらない。


 昨今、この名作は動画配信サイトなど簡単に再生できる時代となったが、スピルバーグは80年代に「この映画は大きなスクリーンで見るべき」として、この映画がビデオ化されることにずっと抵抗を示していたそうだ。結果、彼がようやくビデオ化を承諾するのは88年になってからのこと。当時の彼を擁護するわけではないが、こうして改めてスクリーンで見ると、本作が「鑑賞」の域に留まらない「体験」であることに気づく。というわけで、私は今なお10歳の少年になり、ペダルを漕いでいるかのような気分で本稿を書いている。



 そういえば、スピルバーグが製作総指揮を務める『グレムリン』(84)のオープニングでは、ふと街の映画館が登場する。そこの看板に掲げられた上映作品名は「A Boy's Life」と「Watch the Sky」。実はこれ、前者は『E.T.』の、後者は『未知との遭遇』(77)の制作中の仮タイトルである。


 この時期のスピルバーグの秘密主義は徹底していた。とりわけ『E.T.』に関しては、出演者やスタッフに内容を他言しないという誓約書にサインさせた上で製作を進めたとか。エリオットとETの指先どうしが接するところだけがクローズアップされた最初期のポスターに関しても、デザイナーには本編はおろか具体的な写真なども示されることなく「もっと指は長く、色はこうで・・・」とメモ書きで指示が与えられる状態だったという。


 まだ映画の魔法が勢いを持っていた時代である。世界中の人々が「次はどんな魔法を見せてくれるのか?」とスピルバーグの一挙手一投足を注視する中、彼はこうやって情報の流出を抑えながら、人々の期待や興奮を巧みにコントロールしていったことがうかがえる。ここからすでに彼の作品、いやワールドが始まっているのだ。



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