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『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』"今観るべき映画"を可能とさせる早撮りスピルバーグの伝説

(c)Twentieth Century Fox Film Corporation and Storyteller Distribution Co., LLC.

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』"今観るべき映画"を可能とさせる早撮りスピルバーグの伝説

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『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』あらすじ

1971年、ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国内には反戦の気運が高まっていた。国防総省はベトナム戦争について客観的に調査・分析する文書を作成していたが、戦争の長期化により、それは7000枚に及ぶ膨大な量に膨れあがっていた。ある日、その文書が流出し、ニューヨーク・タイムズが内容の一部をスクープ。ライバル紙のニューヨーク・タイムズに先を越され、ワシントン・ポストのトップでアメリカ主要新聞社史上初の女性発行人キャサリン・グラハムと編集主幹ベン・ブラッドリーは、残りの文書を独自に入手し、全貌を公表しようと奔走する。真実を伝えたいという気持ちが彼らを駆り立てていた。しかし、ニクソン大統領があらゆる手段で記事を差し止めようとするのは明らかだった。政府を敵に回してまで、本当に記事にするのか…報道の自由、信念を懸けた“決断”の時は近づいていた-。


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SF超大作の合間に撮られた社会派ドラマ



 スティーブン・スピルバーグ監督の最新作『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』は、報道の自由と気高いジャーナリズム精神を讃える実録劇だ。1971年、ニューヨーク・タイムズ紙はベトナム戦争に関する機密文書にアクセスした。だが政府は国家安全保障法違反を主張し、司法省を通じて新聞の配布を中止するよう圧力をかける。いっぽうでワシントン・ポスト紙も機密文書の複製を入手し、弁護士や投資家たちの意見を退け、紙面で公表しようと動き出す。映画はそのリスクを負うべきか否かをめぐる、女性発行人(メリル・ストリープ)と編集主幹(トム・ハンクス)との駆け引きが、展開をよりスリリングなものにしていく。



『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(c)Twentieth Century Fox Film Corporation and Storyteller Distribution Co., LLC.


 作品がもたらすドラマ性、メッセージ性の高さもさることながら、この映画でいちばん驚異的なのは、その製作スケジュールだろう。恐ろしいことに『ペンタゴン・ペーパーズ』は、次に公開を控えるスピルバーグの監督作『 レディ・プレイヤー1』の合間を縫って完成されたものだ。スピルバーグは『レディ・プレイヤー1』の製作期間中である2017年5月30日に『ペンタゴン・ペーパーズ』のメインユニット撮影を始め、わずか50日間でそれを完了。同年の12月公開(日本公開は翌年3月30日)へとこぎつけている。脚本執筆から仕上げまで、わずか9ヶ月。平均14ヶ月の製作期間を要するハリウッドの商業映画において、まさに異例の速さである。


『 レディ・プレイヤー1』予告


 スピルバーグが本作の製作を急いだ理由は「(この映画の物語は)米報道機関の現状と相通じるものがある」として題材のタイムリー性を挙げているが、タイトな製作スケジュールでここまでクオリティの高いものに仕上げてしまうのだから、その存在や改めて恐るべしと言わざるをえない。



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