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『プライベート・ライアン』以前・以後。戦場描写に革命を起こしたスピルバーグ

『プライベート・ライアン』以前・以後。戦場描写に革命を起こしたスピルバーグ

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映画史における『スピルバーグ以前・以後』



 映画監督スティーブン・スピルバーグを「映画の王」と呼ぶことに異論はないだろう。娯楽性と商業性に優れた作品を40年以上もの長きに渡って送り出し、その実力をエンタテインメント市場においてまざまざと示してきた。とにかく氏の秀でた業績はあまりにも偉大で、今さらどんな言葉をもってその凄さを称えるべきか、軽い迷いを生じさせる。


 しかし敢えて具体的な偉業を挙げるとするならば、映画史に「スピルバーグ以前・以後」のポイントを築いてきた作り手だということが言えるだろう。殺人ザメの襲撃を描いたキャリア初期の作品『 ジョーズ』(75)は、動物パニックにアドベンチャー活劇を加えた変則的なスタイルで、同ジャンルに新風を呼び込んだ。そして知的生命体との接近遭遇がテーマの『 未知との遭遇』(77)では、一般市民や科学者、軍などそれぞれの視点から捉えた異常事態が、異星人コンタクトの輪郭をあらわにしていく実録調の構成をとり、この種のジャンルの文法をガラリと変えている。




 そして盟友ジョージ・ルーカスとともに取り組んだ冒険劇『 インディ・ジョーンズ』シリーズ(81~08)では、アクション描写の割合を増やして映画の体感速度を高め、マイケル・クライトン原作の『 ジュラシック・パーク』(93)では、従来のアニマトロニクスだけでなくCGIの導入へと踏み切り、最新の映画技術と結託を図ることで、誰も観たことのない恐竜の生物感あふれる描写に成功している。


 そんなスピルバーグが20年以上前に手がけた第二次大戦映画『プライベート・ライアン』(98)も、「本作以前・以後」で戦争ジャンルのビジュアルを一新させた革命的な作品である。一人の兵士を救出するために、過酷な最前線へと身を投じる8人の兵隊たち。この矛盾を孕んだ正義行為に映画は言及し、美談の背後にある「戦争の本質」へと鋭く肉薄している。



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