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『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』"今観るべき映画"を可能とさせる早撮りスピルバーグの伝説

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』"今観るべき映画"を可能とさせる早撮りスピルバーグの伝説

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スピーディな早撮りの実態



 スピルバーグのこうした作品アプローチを可能にしているのは、彼自身が早撮りのテクニックを極めていることも要因のひとつだ。例えば『 シンドラーのリスト』と『 レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(81)は、メインユニットの撮影が75日間。そして『 ジュラシック・パーク』は70日間、『 キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(02)では、全140箇所にもわたるロケーション撮影をわずか58日間で終わらせている(最短は『 タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』における32日間だが、これはパフォーマンス・キャプチャーによるスタジオ撮影が主なので参考に留めておく)。この数字は比較対象がないと実感しにくいが、ごく最近の映画を例にとってみると、『 ブレードランナー2049』(17)が撮影日数135日間、『 スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(17)は110日間など、これらのように半年前後を基準とするハリウッド映画においては、極めてスピーディなものといえる。製作条件が異なる映画を挙げて比べるのは乱暴だが、スピルバーグの撮影の速さを図るうえで、ひとつの目安にはなるだろう。


 また特徴的なのは『レイダース』のようにメインユニットの撮影を88日間と予定していたものが、13日早く終わって75日間といったケースが多い(『ジュラシック・パーク』も、本来の予定よりも12日早く撮影が終わっている)。




 つまり先のケースからうかがえるのは、監督に自分の撮りたいヴィジョンが明確に見えているということ。そして撮影現場における優れた決断力だろう。撮影の速さがイコールで「簡易的」「即席」というのではなく、現場で何を必要とし、何を削ぎ落としていくのかーー。こうした慎重な判断に基づく早撮りであり、それがスピルバーグという作家の良点をおのずと示している。



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