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感情と絆を如何に描くか? 超大作シリーズに新たな魂を吹き込んだ『バンブルビー』脚本家×監督のバトンリレー

感情と絆を如何に描くか? 超大作シリーズに新たな魂を吹き込んだ『バンブルビー』脚本家×監督のバトンリレー


抜擢されたのはアニメ制作会社を率いる俊英監督



 ホドソンの手がけた脚本という名のバトンを受け取ったのは、これまた異例の大抜擢を受けたトラヴィス・ナイト監督だった。アニメーション制作会社ライカのCEOであり、ヒット作『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(16)の監督を務めた俊英である。


 実写映画を手がけるのはこれが初めてながら、その映像センスやストーリーテリング能力の高さは『KUBO』を見れば一目瞭然。また製作陣は、彼がライカを率いてきた統率力にも光るものを見出していたという。なるほど、これまでマイケル・ベイが率いてきたチームを引き継ぐわけだから、強靭なリーダーシップとしなやかなビジョンなくしてその役は務まらない。


 それに、ナイトもまた 生粋の80年代っ子で、とりわけトランスフォーマーに熱狂した世代だとか。この時代への愛情に関してはホドソンに負けないものを持っている。題材との相性もバッチリというわけだ。



 ヒロインとバンブルビー双方の「感情」と、互いの「関係性」をしっかりと描く————多くのスタッフたちは、いかにしてこのハードルを越えるべきかに苦悩したと言う。だがこの点に関しては、ナイト監督がアニメーション畑で培った知恵とノウハウが極めて大きな力となった。


 例えば、スタッフは最初、バンブルビーの顔に様々なディテールを足すことで「感情」を表現しようとした。しかし、そこでナイトは「違う、それじゃダメだ」とアドバイスを出す。曰く、「感情を表現するのに重要なのは“足す”ことではなく、むしろ余分なものを“引く”こと。その上で、残ったパーツをより意味深いものへと磨いていけばいいんだ」。それはアニメーションで日常的に用いられる発想であり手法でもあったという。


 それゆえ、本作のバンブルビーのデザインは従来のものと大きく異なる。顔や体のパーツがよりシンプルでわかりやすくなり、それでいて大きくなった「瞳」がシンボリックに伸縮したり輝いたりするなど、様々な動きが感情を伝えるファクターとなった。




 また、大切なシーンでは、スタッフやキャストがビジョンを共有できるように「パフォーマンス・ストーリーボード」を作成した。それもライカの専門スタッフを招聘して、映像のイメージやカメラの位置関係だけでなく、キャラクターが今何を感じているのかを一目で理解できるストーリーボードにしたという。


 主人公チャーリー役のヘイリー・スタインフェルドもこれを手掛かりに、自分が今どのような感情にあるのか、目の前のバンブルビーといかにコミュニケーションを取れば良いのかを見定めていった。これもまたナイト監督のアニメーターとしての経験値が大いに活かされた瞬間だった。


 さらに、チャーリーがバンブルビーの頬や肩に手を置いたり、お互いにハグしたりする場面では、CGとの合成のためにテニスボールで目線を示すのみならず、俳優が竹馬に乗って高い位置から演技の相手をしたり、あるいは実寸大のバンブルビーの腕などを用意するなどして、スタインフェルドがイマジネーションを膨らませるのを助けたという。



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