©2023 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, TRANSFORMERS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO.©2023 HASBRO
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』製作:ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ 映画史上誰もやったことがないことをやる【Director’s Interview Vol.337】
プロデューサー/マイケル・ベイの役割
Q:現代の観客はVFX、CGに対して相当目が肥えていますが、最新の『トランスフォーマー』はどんなところに注力されているのでしょうか
ボナヴェンチュラ:具体的な話になりますが、ロボットの表面に周囲の環境が映り込んでいると、すごくリアリティが増すんです。これまでのロボット映画では意外と手が抜かれがちでしたが、現実世界にロボットがいるように見せるべく、そこは注力した部分です。また本作では、100%CGで作っているシーンはほぼありません。なるべく実際のロケーションで撮影して、後からCGで作った部分を合わせています。100%CGだとどうしても嘘っぽくなってしまう。そういった部分は非常に気をつけています。
Q:こういった大作映画の場合、監督はストーリーテリングやキャラクター描写に注力する一方で、CGやVFXに関してはプロデューサーがリードしていくものなのでしょうか?
ボナヴェンチュラ:もちろんプロデューサー陣が全体的な統括をしますが、今回は撮影を担当したエンリケ・シャディアックの力が非常に大きかったです。彼はこのシリーズを手掛けた経験もあり、トランスフォーマーたちをどのように見せるのが良いか、どう撮影して、後でどう処理するべきかをしっかり把握できている。監督がストーリーやキャラクターを描くことに注力できるよう、技術的な部分をサポートするスタッフをベテランで固めてあげること。監督に使える道具を与えてあげることが、私の仕事です。
今回はエンリケを始め、このシリーズに長年かかわってきたスタッフがたくさんいました。そしてもちろん私も、プロデューサーとしてこのシリーズで長年培ってきた経験や知識がある。トランスフォーマー の見せ方や合成作業を鑑みて「このショットは、こう撮った方が良いのでは」とさりげなく助言もできる。最終的には監督であるケイプル自身が決断を下す必要があるのですが、何を始めるにしても、方向性や指針みたいなものを示してあげて、さりげなく背中を押してあげる。プロデューサーという仕事はそういったことが非常に大事だと思っています。
『トランスフォーマー/ビースト覚醒』©2023 PARAMOUNT PICTURES. HASBRO, TRANSFORMERS AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO.©2023 HASBRO
Q:今回はプロデューサーとして名を連ねているマイケル・ベイですが、実際にペルーの撮影現場に出向き、ケイプルへのアドバイスとサポートを行ったそうですね。現場でのベイの様子はいかがでしたか?ベイは自分で監督したくなっているのでは(笑)?
ボナヴェンチュラ:ご想像の通りでしたよ(笑)。これまでベイ自身が仕切りまくっていた現場にいるにも関わらず、今回は一つも手を出せない。ベイにとっては非常に居心地の悪い現場だったみたいです(笑)。もちろん彼もプロなのでそんなことは口に出しませんが、そういう雰囲気は伝わってきました(笑)。ただし、彼がいて非常に有難かったこともあります。ペルーでの撮影はパンデミックの真っ只中で、しかも当時のペルーはコロナによる死亡率が世界一位。感染対策に気をつけているとはいえ、スタッフ・キャスト共に気持ち的に落ち込んでいた部分がありました。そこにマイケル・ベイ先生が来て、皆を励まして喝を入れてくれんです。それで皆のテンションが一気に上がった。本当に助けられましたね。
また、先の質問の答えとも重複しますが、撮影や視覚効果、仕上げなど、ベイが手取り足取りケイプルにアドバイスして助けてくれました。しかも今回のマイケル・ベイの視点は、客観的な第三者目線としても有効に機能してくれた。私とケイプルはプロジェクトの立ち上げから関わっていた分、客観的な目線を欠いた部分があったのですが、そこをベイが的確に意見してくれたんです。それもすごく大きな助けになりました。