© Arcadia Motion Pictures, S.L., Caballo Films, S.L., Cronos Entertainment, A.I.E,Le pacte S.A.S.
『理想郷』ロドリゴ・ソロゴイェン監督 物語を語るために必要な3つのこととは【Director’s Interview Vol.368】
脚本作りから距離を置いた効果
Q:冒頭にお話しされた、(脚本作りから)一旦距離をおいた理由について教えてください。
ソロゴイェン:私たちが本作の脚本を描き始めたのは、2015年末のことでした。『ゴッド・セイブ・アス マドリード連続老女強姦殺人事件』(16)が公開される1年前。私たちが共同で手がける3作目になることを心から期待してこれを執筆しました。しかしこの業界ではよくあることですが、思っていたようには進まず、他の企画が優先されるようになり、本作は「次作」と考えられながらも、長い時間が経ってしまいました。
それから6年後、脚本を映画にする時がついに訪れたんです。私たちには「呪い」とさえ思えたことが、実は最善だったということが明らかになりました。なぜならその6年間、私たちは絶えず本作の脚本に戻り続けたから。2016年だったと思いますがこの脚本を続けるべきだという決断をし、書き直していくごとにさらに豊かになっていきました。一時的に少し距離を置いたことで、微妙なニュアンスを加えてさらに複雑な物語にすることができ、より良いものになったんです。
『理想郷』© Arcadia Motion Pictures, S.L., Caballo Films, S.L., Cronos Entertainment, A.I.E,Le pacte S.A.S.
このように時間をかけたことで、別の機会にも恵まれました。私たちは、物語の舞台である地域を何度か訪ねることができたのです。こうすることで地域の人々に会い、田舎や村の生活や特徴について当事者としての話を聞くことができました。
Q:脚本作りにおいて大事にしたポイントはありますか。
ソロゴイェン:物語を語りたいと決めた時点で、どのようにそれを語るかということを考えなければなりません。私にとってはこのプロセスが非常に魅力的で、その「かたち」を見つけるのにいつもしばらく時間がかかります。今は3つのことだけがはっきりと分かっています。どんなコンセプトをたどるのか、観客にとって魅力的なものを提供すること、そして、同じことを何度も繰り返さないということです。