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『哀れなるものたち』撮影監督:ロビー・ライアン ヨルゴス・ランティモスの世界を作ったフィルム撮影【Director’s Interview Vol.382】
キューブリックとの共通点
Q:超ワイドレンズ、ズームといった撮影には、スタンリー・キューブリック作品を想起してしまいますが、ヨルゴス監督共々、意識されたところはありますか?
ライアン:キューブリックについて特に話はしていませんが、ヨルゴスとキューブリックはユーモアの感覚が共通しているように思いますね。キューブリック作品にユーモアを見出す人はあまりいないかもしれませんが、私はすごくユーモアを感じる。そしてヨルゴスの作品にも間違いなくそういったテイストがあって、キューブリックのユーモアとすごく似たような感性がある。また、二人とも撮影に対して深い愛を持っているのも共通していますね。決められたルールに収まることなく、新しいことや限界にどんどんチャレンジしていく。そういった恐れ知らずなところも似ていると思います。
キューブリックは撮影で出来ることの可能性を押し広げた人でもあり、ストーリーテリングにおいても極端とも言える可能性を見せてくれた。ヨルゴス・ランティモスも全く同じことをしてくれる監督だと思います。
『哀れなるものたち』©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
Q:ヨルゴス・ランティモス監督は天才肌のイメージがありますが、ロビーさんから見たヨルゴス監督の印象を教えてください
ライアン:ヨルゴスは、非凡なフィルムメイカーであり、素晴らしいユーモアのセンスを持ち、現場ではすごく楽しみながら映画を作っている。僕から見るとそういう人です。多分その感じは、映画を観ている観客にも伝わっているのではないでしょうか。特異な監督ではあるけれど、本当に素晴らしい感性を持っていて、いろいろなことを大切にする映画作家でもあります。各部署のスタッフにも気を配ってくれて、とにかく明るい現場を作ってくれる。ダウナーな現場は好まないんです。だから関わる僕らとしては、彼の現場はすごくやり易くて楽しいのです。
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撮影監督:ロビー・ライアン
1970年、アイルランド生まれ。ヨルゴス・ランティモス監督の『女王陛下のお気に入り』(18)でアカデミー賞(R)撮影賞にノミネートされる。また、ケン・ローチ監督から厚い信頼を得て、『天使の分け前』(12)、『ジミー、野を駆ける伝説』(14)、『わたしは、ダニエル・ブレイク』(16)、『家族を想うとき』(19)、新作『THE OLD OAK(原題)』(23)を手掛ける。その他の主な作品は、スティーヴン・フリアーズ監督の『あなたを抱きしめる日まで』(13)、ノア・バームバック監督の『マリッジ・ストーリー』(19)、サリー・ポッター監督の『選ばなかったみち』(20)、マイク・ミルズ監督の『カモン カモン』(21)など。
取材・文: 香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
『哀れなるものたち』
1月26日(金)公開
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.