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【イベントレポート】芦澤明子×山崎裕 映画はこうして作られる 撮影監督と語る夜【CINEMORE ACADEMY Vol.30】

【イベントレポート】芦澤明子×山崎裕 映画はこうして作られる 撮影監督と語る夜【CINEMORE ACADEMY Vol.30】

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第三部:スクリーンで観る意義とは(質疑応答)



トークの第三部では、参加した観客からの質問に2人が答えた。ドキュメンタリーの撮影における、被写体との信頼関係の構築の仕方について尋ねられると、山崎さんは「生身の人間同士の関係性だと相手に感じてもらうこと。そのためにアイコンタクトが大事で、ファインダーを通してだけでなく、(ファインダーを覗くのと逆の)片目で人の表情を見て目を合わせることで、通じることを信じています。肉眼で目を見て話を聞くことで感じ合うことがあると思う」と自身の経験を元に語る。


また、フィルムで撮るか? デジタルで撮るかの選択の決め手について尋ねる質問に山崎さんは「単なるノスタルジーでフィルムを使う気持ちはない」と断った上で、それぞれの質感の違いを考えた上で、選ぶと語った。芦澤さんも作品の内容で選ぶことを前提にしつつ「(フィルムは)お金もかかるけど、それ以上に手間もかかる。手間をいとわない気持ちが大事だと思う」と答えた。




また、映画の学校で講師をしている女性は、生徒にタルコフスキーの映画を「映画館で観ないといけない映画」と語ったところ「ストリーミングでいい映画と映画館で観ないといけない映画の違い」について質問を受けたという実体験を明かし、2人に見解を尋ねた。ストリーミングで映画を見る習慣がないという芦澤さんは「おうちで見るより映画館で観たら『すげぇ』と思える映像、大きなスクリーンのその先――フレームの“外”を感じられる映画を撮りたいなと思っています。『仁義なき戦い』をモニターで見ていた人が、初めてスクリーンで観て『違う映画を観たみたいにすげぇ!』と言ったんですけど、そういうこと」と語る。


山崎さんは「映画をスクリーンで観るって、物語だけを追うってことじゃなくて、ある種の体験なんだと思う。物語だけを説明してわからせるのが映画ではない。スクリーンが持っている世界を見る人がどう感じ、そこで悩んだり、謎解きをしながら見ていくという作業。とにかくストーリーだけわかるという画を撮ってもしょうがないんだと思う」と自戒を込めてスクリーンで観るにふさわしい映像を撮る心意気を口にしていた。


休憩を挟んで約2時間半のトークとなったが、半世紀以上前のエピソードから技術論まで、2人の口から語られる貴重な内容に観客は無心に耳を傾けていた。





芦澤明子 (JSC)

東京都出身。自主映画の制作、ピンク映画の撮影等を経て、83年にカメラマンとして独立。近年の主な作品に、『わが母の記』(12)、『岸辺の旅』 (15) 、『散歩する侵略者』 (17) 、『旅の おわり世界のはじまり』 (19) 、『影裏』 (20)、 『子供はわかってあげない』(21)、『レジェンド& バタフライ』(23) など。



山崎裕

1940 年、東京生まれ。1963 年日本大学芸術学部映画学科撮影専攻コース卒業。記録映画『日本の華 浮世絵肉筆』(小川益王監督) で24 才の時にフィルムカメラマンとしてデビューし、以来、記録映画、CM、TV ドキュメンタリー、劇映画、などで活躍。主な作品に『ワンダフルライフ』(99)、『誰も知らない』(04)、『海よりもまだ深く』(16)などの是枝裕和監督作品や、『2つめの窓』(河瀬直美/14)、『永い言い訳』(西川美和/16)、『コンプリシティ 優しい共犯』(近浦啓/18)、『ANPO』(リンダ・ホークランド/10)、『ニッポンの嘘~報道写真家 福島菊次郎 90 歳~』(長谷川三郎/12)などがある。



構成:CINEMORE編集部


撮影:青木一成



協賛:

株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス

株式会社IMAGICA Lab. 

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