誰がラスボスでもおかしくないキャスティング
Q:主演の山﨑賢人さんは、こういった歴史アクションファンタジーが多い印象もありますが、実際にお仕事してみていかがでしたか。
佐藤:すごく魅力的な人で、晴明がとても似合っていたと思います。他の役で見られるような、活発で積極的な青年とは全然違う役柄でしたが、本人の持っている雰囲気は今回の方が似ているかもしれません。少し浮世離れしているような、生活感をあまり感じさせないフワッとした人。晴明はフワッとはしていませんが、山﨑さん本人の柔らかい空気感は良かったですね。
Q:晴明の周りを固めるキャスティングも、小林薫さんから、出番がそれほど多くはない吹越満さんから筒井真理子さん、村上虹郎さんまで贅沢な布陣でしたが、キャスティングはどのように進められたのでしょうか。
佐藤:吹越さんは私の作品はいろいろ出てくれていて、いつもお願いしています。筒井さんもお友達なのでお願いしました(笑)。今回はラスボスになれる人ばかりをキャスティングしたんです。村上虹郎くんがラスボスでも全く遜色ない。そういう人たちに集まってもらいました。
『陰陽師0』©2024映画「陰陽師0」製作委員会
Q:小林薫さんはいつもの印象と違う感じもあって意外でした。
佐藤:オファーして受けていただけたので、少し驚いた部分もありました(笑)。小林さんは脚本をしっかり読み込まれていて、言葉使いにすごく気を遣っていました。「こんな感じで言った方が良いんじゃないかな」と、色々と提案していただきました。合成の関係もあって何も無いところで演技をしてもらうこともありましたが、私の方で指示しつつ、テンションを調整しながら演じてもらいました。演技に関しては映画全体を通して計画を立てておく必要があって、その場で良いと思っても全体を通してみると違っていることもある。毎日少しずつ修正しながら撮影していきました。
Q:影響を受けた、好きな映画監督や作品を教えてください。
佐藤:最初の頃はデヴィッド・リンチにすごく影響を受けました。『イレイザーヘッド』(77)は、あまりにも怖すぎて6回くらい観ました(笑)。テリー・ギリアムもすごく好きでしたね。最近のお気に入りはクリストファー・ノーラン。『インターステラー』(14)が一番好きですね。
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監督:佐藤嗣麻子
1964年生まれ。岩手県出身。ロンドン・インターナショナル・フィルム・スクールにて映画制作を学ぶ。監督作品に、『ヴァージニア』(93)、『エコエコアザラク WIZARD OF DARKNESS』(95)、『K-20 怪人二十面相・伝』(08)、『アンフェア the answer』(11)、『アンフェア the end』(15)など。「恋におちたら〜僕の成功の秘密〜」(05)、「アンフェア」(06)、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(10)、「独身貴族」(13)、「ハイエナ」(23)などの脚本も執筆。
取材・文: 香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
撮影:青木一成
『陰陽師0』
4月19日(金)公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2024映画「陰陽師0」製作委員会