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『かくしごと』関根光才監督 企画・脚本に対してのベストアプローチを採る【Director’s Interview Vol.410】

『かくしごと』関根光才監督 企画・脚本に対してのベストアプローチを採る【Director’s Interview Vol.410】

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“エンタメ”という言葉の難しさ



Q:編集は本田吉孝さんです。本田さんとの映画のお仕事はどうでしたか?


関根:いろんな映像作品で本田さんと仕事をし始めたのは、映画の編集をしてもらいたく僕から近づいたからなんです(笑)。彼が映画をどういうふうに見ているのか、どういう風に編集しているのかを、横でじっと見ていました。以前、ドキュメンタリー映画の編集をやってもらったことがありましたが、長編映画は今回が初めて。やっと映画を一緒に出来る感じもあり、すごく嬉しかったですね。


本田さんはすごく柔軟なところがあって、自身の意見だけではなくプロデューサーのような視点も持っている。ある種エディティング・ディレクターのような仕事ぶりで、すごく良かったです。僕が繋ぐと長くなりがちなのですが、彼はサクサク切ってくれた。もちろん、ただドライに切るというのではなく、各ショットの持つストーリーを最大限大切にして切ってくれる。彼は幅広くたくさん映画を観ていることもあり、観客に向けた編集スキルがすごく高いと思います。



『かくしごと』©2024「かくしごと」製作委員会


Q:児童虐待や介護問題のようなテーマを、エンターテイメントとして映画化する意義をどのように感じていますか。


関根:もし自分が中高生ぐらいのときにこの原作を読んでいたら、認知症の祖父への接し方も変わっていたと思うんです。祖父がどういう状態で何を求めていたか、もう少し分かってあげられたかもしれない。中高生が認知症について書かれた本を読む機会は少ないと思いますが、映画であれば手を伸ばしやすい場合もある。そういうところに、映画を作る意義があるのかなと。ミステリー映画だと思って観ていたら、認知症のこともちょっと知れた。なんてこともありますよね。色んな人の人生や目線を知ることが出来るのは、映画の大事なところだと思います。`


ただ一方で、エンタメという言葉って結構難しい部分もあるなと。この仕事をしていると、エンタメという言葉に当てはめると何でも正当化できちゃうところがある。それはすごく危険なことだと思っていますし、気をつけていたいなと思っています。




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監督/脚本:関根光才

映画監督・映像作家。2005年に初監督の短編映画『RIGHT PLACE』を発表、ニューヨーク短編映画祭の最優秀外国映画賞などを受賞。翌年、英レインダンス映画祭のために監督したトレイラー作品と共に、カンヌ広告祭のヤング・ディレクターズ・アワードにてグランプリを含む3部門で最高賞を受賞する。2018年に初の長編映画監督・脚本作品『生きてるだけで、愛。』が新藤兼人賞・銀賞、フランス、キノタヨ映画祭・審査員賞などを受賞。同年、ドキュメンタリー映画『太陽の塔』も公開。国連UNHCR協会と難民問題についての作品を発表し、2024年に公開となるドキュメンタリー映画『燃えるドレスを紡いで』では衣服とゴミの問題に焦点をあてるなど、社会的なテーマ性を持つ作品も多く発表している。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成





『かくしごと』

6月7日(金)TOHOシネマズ 日比谷、テアトル新宿ほか全国ロードショー

配給:ハピネットファントム・スタジオ

©2024「かくしごと」製作委員会

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