映画の力を信じている
Q:本作は“光と影”のメタファーを強く感じました。ナチスによって映画館が潰されるシーンは象徴的でした。
フォスター:“光と影”は大きなテーマのひとつでした。映画館にナチスが入ってくることによって全てが破壊されてしまう。自由なストーリーテリングやイマジネーションを光で生み出す場所が破壊されることは、とても象徴的ですよね。
『ホワイトバード はじまりのワンダー』© 2024 Lions Gate Films Inc. and Participant Media, LLC. All Rights Reserved.
Q:映画というエンターテインメントに社会問題を含めて提起することは、無関心層に訴えるのには非常に有効な手段ではないかと思います。その辺りのご意見があれば教えてください。
フォスター:おっしゃる通り、映画の力はそういうところにあると思います。例えば『スター・ウォーズ』は、すごく多くの人に強いメッセージを伝えることが出来ていますよね。映画のパワーというものをすごく感じます。ただ今は、ソーシャルメディアの勢いがすごくて、昔と比べると映画のパワーは劣ってきているのかもしれません。それでも私は映画の力を信じています。今回の“救済”というメッセージは映画を通して充分伝わると思いますし、様々な感情を感じとっていただけるのではないでしょうか。
Q:影響を受けた映画や監督を教えてください。
フォスター:フェデリコ・フェリー二、ビリー・ワイルダー、フランソワ・トリュフォー、そして黒澤明。残念ながら皆さんすでにお亡くなりになっていますが、そういった監督たちから大きな影響を受けていると思いますね。
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監督:マーク・フォースター
ドイツで生まれ、スイスで育つ。米ニューヨーク大学映画学科を卒業後、ロサンゼルスを拠点に、1995年の『Loungers(原題)』で監督デビュー。ハル・ベリーを黒人女優初のオスカーに導いた『チョコレート』(01)で国際的に知られるようになり、続いてジョニー・デップとケイト・ウィンスレットが共演したヒューマンドラマ『ネバーランド』(04)を監督。ファンタジーコメディ『主人公は僕だった』(06)や、ベストセラー小説を映画化した『君のためなら千回でも』(07)を経て、シリーズ第22弾『007 慰めの報酬』(08)を監督した。その後も、実話をもとにした社会派ドラマ『マシンガン・プリーチャー』(11)、ブラッド・ピット主演のゾンビ映画『ワールド・ウォー Z』(12)、ディズニーの人気キャラクター「くまのプーさん」を実写映画化した『プーと大人になった僕』(18)など、スタジオや独立系を問わず、業界屈指の才能を多数起用した、さまざまな規模やジャンルの作品でメガホンをとる。 フォースター監督はアーティスト主導のトランスメディアコンテンツ会社2Dux2の共同設立者兼共同CEOであり、『ワールド・ウォー Z』(12)、「ハンド・オブ・ゴッド」(14~17)、『かごの中の瞳』(16)、『プーと大人になった僕』(18)などの作品がある。
取材・文:香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
撮影:青木一成
『ホワイトバード はじまりのワンダー』
12月6日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
配給:キノフィルムズ
© 2024 Lions Gate Films Inc. and Participant Media, LLC. All Rights Reserved.