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『不思議の国のシドニ』イザベル・ユペール 伝統とモダンがミックスされている日本に惹かれる【Actor’s Interview Vol.47】
シネフィルの日本映画愛
Q:フランスでは日本映画も古典的なものから現代映画まで、大変興味を持たれている印象があります。あなた自身も日本の監督をお好きだと聞きました。
ユペール:そうですね! まあフランスに限らず世界的に、映画好きなら日本映画を知らない人はいないのではないでしょうか? そういえばこの映画を観たあるジャーナリストから、小津安二郎を彷彿させたと言われたことがありますが、それはジラール監督にとって大いなる褒め言葉だと思います。もちろんわたしも小津映画の大ファンです。彼の映画はとても人間的であり、撮り方にもそれが表れています。構図も独特で人間味がある。溝口健二も好きです。本作では、シドニが編集者の溝口(伊原剛志)に、あの映画監督の親戚なのかと訊くセリフがありますが、それぐらい彼もフランスで有名です(笑)。あとはもちろん現代の映画作家たち、北野武、是枝裕和、濱口竜介といった監督たちもわたしは大好きです。日本映画にはいつも興味深い人材がいるので、わたしは常に追いかけています。
『不思議の国のシドニ』©2023 10:15! PRODUCTIONS / LUPA FILM / BOX PRODUCTIONS / FILM-IN-EVOLUTION / FOURIER FILMS / MIKINO / LES FILMS DU CAMÉLIA
Q:伊原剛志と共演した感想を聞かせて下さい。どんな点が心に残っていますか。
ユペール:彼は寡黙だけど距離を感じさせるのではなく、とてもよい絆を持てました。英語が堪能ですが、フランス語を話せたわけではないので、フランス語のセリフをマスターするのはとても大変だったと思いますが、すごくうまく対応していたと思います。わたしにとっては日本で撮るという環境の変化、彼にとっては外国語のセリフというところで、わたしたちのコネクションもより強くなった気がします。
Q:溝口とシドニのラブシーンの場面はとてもユニークな描き方をしていますが、あの場面についてはいかがですか。
ユペール:とても詩的で気に入っています。フランス語だと「フォト・ロマン(フォト・ノベル)」というのですが、写真で表現する小説のようで、独特のイマジネーションを喚起する。アラン・レネ監督の『二十四時間の情事』(59)をちょっと彷彿させました。