ボディブローのようにジワジワ効かせる
Q:ファッション雑誌の編集部に行くシーンが出てきますが、そこで働いている女性たちのファッションは当然普通の人たちとは違いますね。
小川:もちろん違います。働いていない人と働いている人、ファッション誌の編集部など分けて作っています。あの頃の出版社はイケイケだったので、おしゃれな人が多いですよね。
Q:時代が違うだけでなく、更にそこにファッションの趣向が違う人が多く出てくると、集める衣装も膨大になりますね。
小川:古着屋さんも行くし、映画会社の倉庫にも眠っているものを使ったりもします。「これ昔の映画で見た!」みたいな衣装も探すと出てきますよ。それでも揃わないものは作っています。メインの方々の衣装は割と作っていますね。
Q:映画会社の倉庫に眠っているものがあるのですね。
小川:栃木にある倉庫まで探しに行きました。映画会社も毎回自分たちで全部作るわけにはいかないし、なかったら自分たちも困るわけです。ちゃんと保管されていますよ。特に戦争映画に出てくる軍服などは変わらないものですしね。
Q:古着屋なども探すと意外と出てくるものなのでしょうか。
小川:いやいや、なかなかないですね。30軒探して1着あるかないか。でも今の時代のものを使って、そう見えるようにするコツもあるんです。
Q:若いスタッフは当時のものを知らないから、探すのが難しそうですね。
小川:だから皆すごく勉強しています。当時の雑誌は全部見てもらうし、ファッション誌から「アサヒグラフ」みたいな写真週刊誌まで見て、徹底的に調べます。

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Q:そこまで徹底されているからこそ、当時の映画を観ているような感覚に陥ったのかもしれません。
小川:脚本を読んだ時点で「当時の映画のように見せよう」と思ってやりましたから。でも、当時のまんまでやっちゃうとかなり大袈裟で結構笑えるんです。だから、「当時はこうだったけどね」と今の範囲の中でやっている部分もあります。
実際には、衣装は何か感じる程度でいいと思うんです。いちいち「あの衣装が…」って思われない方がいい。これはどの部署も同じだと思いますが、ボディブローみたいなものでジワジワ効けばいいんです。アッパーカットをやってはいけないと思います。今回のラストの赤い衣装はアッパーカットかもしれませんが、あれはあえてアッパーにしているわけで、そうでない場合はボディブローぐらいがちょうどいいですね。
Q:衣装の中には前田監督の身内の方の服もあったそうですね。
小川:そうなんです。監督のおばさまは当時のキャリアウーマンで、海外とかにもよく行ってらっしゃったそうで、とても物が良かった。その服を全部使ったらおしゃれ映画になっちゃう。私が好きなものも多くて、サイズが合ったら全部欲しかったですね(笑)。本当はもっと使いたかったのですが、サイズが小さかったので多くは使えず…。でも、裁判の支援者役の方には一部着ていただきました。あとは、はるかちゃんが家で勉強しているときに着ている半纏も、監督のおばさまのものです。暗いシーンなのでよく分からないかもしれませんが、手の込んだボーダーですごく綺麗でしたね。