「仕事に飽きない」ことがテーマ
Q:雑誌や広告と比べると映画は撮影期間も長く出演者も多いので、拘束時間も長くなりますね。
小川:自分の会社を作れば、常時5〜6本くらいは仕事を受けられるのですが、そうなるとほとんどアシスタントが動いて自分はチェックするだけになってしまう。目が行き届かなくなるんです。自己満足かもしれませんが、私は自分でやらないと面白いと思えない。だから会社にはせずにノンビリやっています。ただ洋服を探して渡すだけだと物足りなくて、つまらなくなると思う。私は「仕事に飽きない」ことがテーマなので、飽きちゃったらやめようと思っています。だから隅々まで自分でやる。その代わり体力はものすごく使います。今一番の課題は体力ですね。これまでと同じやり方だとかなりキツイですから(笑)。
Q:今回の前田監督をはじめ李相日監督や西川美和監督など、いつも錚々たる監督とのお仕事が多いですね。
小川:面白い監督ばかりですね。楽しくできる監督としかやってないような気がしますね。初めてご一緒する時は試験みたいなものですから、次にまた声を掛けてもらえたら一応合格したのかなって。

『ファーストボイス』©2026「ファーストボイス」製作委員会
Q:好きな映画や好きな監督を教えてください。
小川:残念ながら最近の映画は全然観に行けていないのですが、昔の作品だと川島雄三監督が一番好きかもしれません。『しとやかな獣』(62)とかいいですよね。他には山中貞雄監督の『人情紙風船』(37)みたいなしっとりしたものも好きだし、市川崑監督のような文学っぽいものも好きですね。
海外だったら、アキ・カウリスマキ。あの人のペーソスな雰囲気が大好きです。画面から「伝えよう」という意思をちゃんと感じるんです。色使いも本当に好きで、画角も1枚ずつちゃんと画になっている。画を意識しすぎるとつまらない映画になることがあるのですが、アキさんはそうならないところがいいなぁて好きですね。

衣装デザイン:小川久美子
福岡県出身。大学在学中からCMのスタイリストを始め、雑誌にも関わる。デビュー当時の薬師丸ひろ子氏の写真集のスタイリングを手がけたことが縁となり、1981年に映画『セーラー服と機関銃』で衣装デザイナーデビュー。以降、主な作品に『キル・ビルvol1.2』(03、04)、『岸辺の旅』(15)、『国宝』(25)など。
取材・文: 香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
撮影:青木一成
『ファーストボイス』絶賛上映中
配給:松竹 / ワーナー・ブラザース映画
©2026「ファーストボイス」製作委員会