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『わたしの知らない子どもたち』VFXスーパーバイザー:上田倫人 目指したのは誰にも気づかれないVFX【Director’s Interview Vol.599】

『わたしの知らない子どもたち』VFXスーパーバイザー:上田倫人 目指したのは誰にも気づかれないVFX【Director’s Interview Vol.599】

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ロケハンで判断するVFXの範囲



Q:作中の衣装もリアリティにあふれていましたが、現場のエキストラの方々が着ていた衣装などを参考に、背景奥のCGキャラクターを作成していったのでしょうか。


上田:基本的にはその時代考証に合ったものをCGで作成しています。ただ、CGで人物を足したのは上野駅のシーンくらいで、他はそこまで多くありませんでしたね。


Q:焼け跡のロングショットのシーンでは、遠くの方で人が歩いていたり鳥が飛んでいたりしていますが、その辺の細かい演出はVFXチームで演出して提案されるのでしょうか。


上田:そうですね。そのカットでは、現場に実際にあった大きな倉庫の位置を合成上でずらしたりして、画面の奥行きが出るように調整したりもしています。「この奥に建物を配置した方がいいか」「さらに奥にもう一つあった方が空間の広がりが出るのではないか」といったことをチーム内で話し合い、こちらから提案して作り込んでいきました。


Q:実景として作る範囲と、CGで作る奥行きの計算は、どのように判断して決めているのですか。


上田:基本的にはロケハン時に判断しています。ロケ地を見て、「ここまでは実景で行くなら、手前の草は切ってしまおう」「逆に手前にはセットを少し建ててほしい」「ここはCGと実写の分割線になるから、境界を誤魔化すために何か建てたい」といった相談をします。後々の合成作業がスムーズになるための配置計画をロケハンの段階で綿密に決めています。



『わたしの知らない子どもたち』メイキングシーン ©︎2026 K2 Pictures・AOI Pro.


Q:以前、『トランスフォーマー』(07)のメイキングで、CGチームがロボットの周りに勝手に小さな虫を飛ばしていて、それをマイケル・ベイ監督がすごく気に入ったというエピソードを見たことがあります。本作でも、そういったVFXチームからの自主的なディテールの提案はあったのですか。


上田:鳥などは勝手に飛ばしていますね(笑)。煙の要素を足したり、「ここで人が井戸端会議をしているようにしよう」と人物を配置したりもしています。そのような提案は監督も大喜びでした。


Q:映像のクオリティをどこまで追い込むか、VFXチーム内でハードルを引き上げるのは上田さんの役割になるのでしょうか。


上田:僕と、共同VFXスーパーバイザーである白組の高橋正紀さん、そしてアソシエイトVFXスーパーバイザーの松元さん、大久保さんの4人でチェックを行います。あがってきた映像を見て、皆で「ここはもう少しこうしたいね」と議論を重ね、「このレベルまで来たから監督のチェックに出そう」と判断します。基本的には、私たちVFXチームの中で「ほぼ完成している」と納得できた状態のものを監督にお見せするようにしています。


Q:『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(15)のVFXメイキングでも、監督のOKが出る前に、ILMのチームリーダーが試写室で見て「やっぱり駄目だね、やり直し」と突き返すシーンがありました。素人目には何が悪いのか全く分からないのですが、プロの追い込みの凄まじさを感じました。


上田:僕ら4人のうち、誰も文句を言わなくなるまでブラッシュアップを続けるのが一番大変ですね(笑)。でも、そうやって細かくディレクションできる目を持った人間が複数いるからこそ、最終的な作品のクオリティに直結するのだと思います。


Q:映画用ということで、チェック用のモニターもかなり大きなサイズを使用されるのですか。


上田:通常のモニターよりは大きいものを使いますが、最終的なチェックは必ずスクリーンで行います。東映デジタルセンターの大きなスクリーンに投影して、確認したものが最終的なOKテイクとなります。


Q:白組の高橋さんとは、どのような役割分担でお仕事をされていたのでしょうか。


上田:撮影現場での対応はほぼ僕が担当し、高橋さんは白組内でのスタッフィングや進行管理をベースに、最終的なクオリティチェックを一緒に行うという分担でした。


Q:上田さんは白組と一緒にやることが多いのでしょうか。


上田:白組には三軒茶屋チームと調布チームがあるのですが、僕は庵野・樋口組が多いので、普段は三軒茶屋チームとやることが多いんです。今回は初めて調布チームと一緒にやりました。この作品に関しては、戦後や昭和の時代を作るのが上手い調布チームとぜひ一緒にやりたいとお話をさせて頂きました。


Q:それはつまり『ALWAYS 三丁目の夕日』(05)や『ゴジラ-1.0』(23)のチームが調布チームだということですね。


上田:その通りです。あの時代をやらせたら一番うまいのは間違なく調布チームなので。





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