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魔法使いもクリスマスを祝う
『ハリー・ポッター』の世界観が楽しいのは、楽しいものや雰囲気の合うものはどんどん取り入れているところだ。どういうことかと言うと、たとえば魔女や魔法使い見習いの子どもたちが通う魔法学校で、クリスマスを祝ったりするところ。魔女や魔法使いがクリスマスを祝う、とだけ聞くと少しヘンテコな気がするけれど、深い意味はなく、ただクリスマスそのものが祝われている印象だ。大きなツリーが飾られたホグワーツ城の大広間は暖かみがあって見ているだけで多幸感がある。魔法界とクリスマスの雰囲気はぴったりである。
個人的な思い出で言うと、シリーズ一作目『ハリー・ポッターと賢者の石』の日本公開は2001年12月1日。クリスマス・シーズンの真っ最中に大好きな「ハリー・ポッター」の映画版が公開されるというのは子ども心にとても贅沢だった。そういう意味でも魔法界とクリスマスのイメージは結びつけられている。
クリスマスの休暇で大勢の生徒が家に帰ってしまうと、いつも賑やかなホグワーツも少しがらんとする。残った者だけで過ごすわけだけれど、ハリーの家というのは彼をいじめる叔母一家の家なので、もちろん帰らない。彼にとってはホグワーツこそが家なのだ。『賢者の石』では、ハリーがホグワーツで過ごす最初の一年間が描かれるが、そこで彼は初めてのクリスマスも祝うことになる。