提案をくれたメインキャストたち
Q:主演の吉村界人さんは、農作業を通じて成長し変わっていく若者、真也を熱演されています。ご本人のキャスティングのきっかけは?
渡邉:彼と知り合いだったんです(笑)。主人公はちょうど彼くらいの年代の若者がいいなと思ったのと、人の道をやや外れて真面目に生きてないんだけど、どこか憎めなくてまだ救いの道があるキャラクターでいてほしいなと思ったんです。それでプロットを渡して相談しました。プロットを読んで、こういう主人公の葛藤はいいよね、みたいなことは言ってくれて。もっとこういう風にしたいって、提案もしてくれました。
Q:人の道を踏み外しているけど、ちゃんと元に戻れるような余白はすごく感じますよね。衣装やヘアメイクなども含めて、その辺のリアリティーはとてもありました。主人公の設定については、吉村さんとどのように話されたのでしょうか。
渡邉:シーンとしては結構序盤のほうから撮り始めてるんです。だから、彼がやり過ぎない程度に抑えておくことは意識しましたね。最初から、「あ、こいつ多分変われないな」って思われちゃうと物語がつながらなくなってしまうので。そこは本人に対して優しさを持ってもらえるようにしました。例えば、小さな子どもに相手にされなくて、戸惑ってしまう。みたいな感じですね。
Q:吉村さんは、もう本人がそういう人なんじゃないかってくらい、真也役になりきっていましたね。
渡邉:本人は、自分はあそこまでダメじゃないって言ってましたね(笑)。
Q:正雄演じる萩原聖人さんの存在感もすごかったです。出演のきっかけは?
渡邉:萩原さんは、助監督をやってる時からすごくお世話になってまして、マネジャーとも仲が良かったんです。そのつてを活かして、正雄役でどなたか良い方いませんかね?って、マネジャーに相談してたんです。そしたら「萩原さん、出てくれるって言ってるよ」って言われて。。まさか出てくれるなんて夢にも思ってなかったので、ええと、どうしたらいいんだっけ、みたいな(笑)。とりあえず、脚本送ればいいんでしたっけ、みたいな感じでした(笑)。
Q:その際もプロットを元にお話ししたのでしょうか。
渡邉:そうですね。そもそも第1稿を書き上げたときは、正雄役は5~60歳くらいのおじいちゃんの年齢設定で書いてたので、萩原さんが出てくれるとなって設定をぐっと引き下げました。また内に何か秘めているような感じがいいなと思ったので、父子家庭という形にして、夫婦関係にはあえて触れず謎めいた感じにし、物語を進めていくように変更しました。