これ、自主映画なんです
Q:こうしてお話を伺ってると、監督だけでなくプロデューサーも兼ねてますよね。
渡邉:はい。もはや兼ねてますね(笑)。
Q:自分で企画書作って色々と動いて、吉村さんや萩原さんはじめ、協力してくださる方が集まってきたっていう感じなんでしょうか。
渡邉:そうですね、はい。
Q:助監督時代のつながりもあるんですね。
渡邉:はい。本当にみなさんに感謝ですね。
Q:ところでこれは、商業映画なんですか、それとも自主映画になるんですか。
渡邉:これは自主映画なんです。でも気がついたらキャストが豪華になったり、音楽も古舘佑太郎さんに作って頂いたりして、商業映画に見えるんですけど(笑)、完全に自主映画ですね。
Q:こうやって長尺で撮るのは、何回目ぐらいですか。
渡邉:いや、初めてです。
Q:初めてなんですか!?
渡邉:はい。大学時代に短編は撮ったりもしたことありますけど。長編は初めてですね。実は大学は2年までいてその後中退して助監督を始めたんです。その1年後くらい、本当だったら4年生になってるはずのときに、学生時代の友達が卒業製作を撮りはじめたんですよね。あ、自分も卒業製作みたいなの撮りたいと思って。それで今回、思い切って自分でも撮ってみようって思ったんですよね。自分の全総力を懸けて撮ってみようと思って。
Q:監督は今おいくつですか。
渡邉:26歳です。撮ったときは23歳でしたね。
Q:そうやっていろんなことがあって、映画が完成したと思うのですが、この映画を作るまでに一番大変だったことは何ですか。
渡邉:そうですね。映画を作った後、それを公開させることが一番大変でした。
Q:映画館で上映することがですが。
渡邉:そうです。映画館で上映するのって、こんなに大変なんだって痛感しましたね。劇場側からすると、自主映画なんで観客が集まる保証もないわけです。いやー、本当に大変でした(笑)。他に撮影段階でいうと、とにかくスケジュールが大変でしたね。皆さんの都合もあって、11月の中旬に初めて台本を書き終えて、12月の末には撮影を始めなければいけなかったんです。
Q:え!?全然時間ないですね!
渡邉:11月の頭にプロット書いて、11月中旬に第1稿書き上げて、それで11月末にキャスティングが大体決まって、さあロケハンだって感じですね。まぁロケハンしつつ台本直してましたけど。もう目まぐるしくて。
Q:すごい。それでよく撮れましたね。
渡邉:すごかったです。制作部も無しでやりきりました。ロケ地見つけて、キャスティングして、台本書いて、みたいな感じでした(笑)。
Q:でもちゃんと作りあげましたね。すごいです。映画作る際には、参考にしてる作品や監督などあったのでしょうか。
渡邉:そうですね。好きなのは、山下敦弘監督、石井裕也監督、熊切和嘉監督ですね。あと、廣木隆一監督。廣木さんも福島出身で、福島の映画を撮ったりされているのですが、あの感じはすごく参考にしています。できる限り、ちょっと生っぽく作られた感じというか、その辺はすごく意識はしてますね。
Q:今後はどういう作品を作っていきたいですか。
渡邉:人間が葛藤し、物語の中で成長して前を向いていく。自分はそういう映画を撮りたいんだと、映画を作って気付きましたね。
Q:では最後に、このインタビューを読んでくださっている皆さんにメッセージを。
渡邉:震災があってこれまで本当に色んなことがあったと思います。でも、そういうことがありながらも、前を向いて生きている人がいることを忘れずに、この映画を見て、明日も頑張ろう!って思ってもらえると嬉しいですね。
監督:渡邉裕也
1992年生まれ、福島県須賀川市出身。2014年大学中退後、助監督として映像業界に入る。MVなどの監督をしながら、助監督として商業映画に関わり始める。今作が初監督であり、初商業監督作品となる。
取材・文: 香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
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2019年3月2日(土)からユーロスペースほかで全国順次公開
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