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英国スパイと魔法使い【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.22】

英国スパイと魔法使い【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.22】

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スパイ映画に潜む魔法使いたち





 さて魔法使いだが、『裏切りのサーカス』ではまずゲイリー・オールドマンが『ハリー・ポッター』シリーズのシリウス・ブラック。ハリーの名付け親で、長年無実の罪(ハリーの両親の居所を宿敵ヴォルデモート卿に教え、ふたりに死を招いたとされていた)で魔法監獄アズカバンに収容されていた不遇のひとだ。またスマイリーの上司であり、二重スパイ"もぐら"の正体をあと一歩というところまで突き止めながらも病死してしまうコントロール役、ジョン・ハートがハリーに魔法の杖を売る杖職人オリバンダーだった。ハリーに杖を渡す際、同じ芯が使われた兄弟杖が存在することを告げるのだが、その兄弟杖を使っていたのはヴォルデモートそのひと。オリバンダー老人は作った杖、売った杖、売った相手を全て覚えているプロである。


 さらに、スマイリーの "もぐら"狩りに協力するロンドン警視庁公安部の元警部メンデル役のロジャー・ロイド=パックは、『炎のゴブレット』に登場する魔法省の役人バーティ・クラウチ・シニア役のひとだし、スマイリーたちによって"もぐら"容疑者のひとりとされた情報部の幹部ロイ・ブランド役のキーラン・ハインズは、ホグワーツ魔法学校の校長ダンブルドアの弟、アバーフォース・ダンブルドア役である。同じく"もぐら"候補で情報部の新リーダーであるパーシー・アレリン役のトビー・ジョーンズは、『秘密の部屋』などでハリーを助けるためにお節介を焼く妖精ドビーの声を担当している。ドビーは魔法使いではないけどね。妖精と言えば、シリウス・ブラックの実家の屋敷に仕えているクリーチャー(クリーチャーという名前である)に声を当てたサイモン・マクバーニーは、スマイリーに"もぐら"狩りを命じる外務次官レイコン役だった。


 一方、『裏切りのサーカス』と対局のようなジェームズ・ボンド映画の方に目を向けると、こちらにも魔法使いが加わっている。まず『007 スカイフォール』から登場するレイフ・ファインズは、ジュディ・デンチ扮するMI6局長Mの死後、新任のMとしてボンドの上司となるが、言わずと知れたハリー・ポッターの宿敵ヴォルデモート役である。『スカイフォール』ではスパイを時代遅れのものとしてMI6の解体を狙った政府内の動きも描かれるが(50周年作品らしく007シリーズ自体の存在に言及しているようなくだりだ)、その審問会でMを厳しく糾弾する政治家を演じるのがヘレン・マックロリー。ハリーのライバルであるドラコ・マルフォイの母親ナルシッサ・マルフォイ役でもあった。


 また以前の作品では、ハリーの友人の大男ハグリッド役でお馴染みのロビー・コルトレーンが、ピアース・ブロスナン版のシリーズでボンドを手助けするロシアの犯罪王ズコフスキー役だった。ブロスナン版ではほかにも、『ワールド・イズ・ノット・イナフ』で兵器主任Qの後任Rを、『ダイ・アナザー・デイ』でQ自身を演じたジョン・クリーズが、ハリーの通う魔法学校の城内に取り憑いているゴースト、“ほとんど首なしニック”役である。これももう魔法使いではないが。



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