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女王と王の初対決!『モスラ対ゴジラ』【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.26】

女王と王の初対決!『モスラ対ゴジラ』【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.26】

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遠景の中の亡霊ゴジラ





 また本作で際立っていると思ったのは遠景の中にいる怪獣の画。画面の下の方に逃げ惑う人々、中央に街や山などの景色、そしてその向こう側にゴジラの姿、というシーンが繰り返し登場する。昔の特撮なのでわかりやすい合成だが、色や画質の異なるぼんやりとした像が遠景にはめこまれているのが、かえって遠くに見える青みがかった巨大なものとして存在感がある。くっきりと見えるよりも怖い。ピントが合っているのは街並みや人々で、ゴジラは大きく映ることもなく、さりげなく遠景の端からぬうっと現れるので、見てはいけないものが目に入ってしまったかのような感じさえある。そこにいるはずのない、いてはいけない亡霊的な雰囲気も、ゴジラに合っている。


 異なる大きさのものが合成されているといえば小美人も同じこと。巨大な怪獣たちと、人間の手のひらに乗ってしまう小美人との大きさの比較は、少しクラっとするものがあるが、そこにいないはずのミステリアスな存在感は共通している。違いすぎるサイズのものが画面の中に両立されているのも特撮の醍醐味だと思う。


 モスラの卵で金儲けを企んでいた興行師たちは、ゴジラ襲来の中で醜く争う。ついに一方を殺したやつが有り金を持って逃げ出そうとするのだが、窓のすぐ向こうにゴジラが見えている手前で、金庫の中から札束をかき集めているという構図が漫画的でおもしろい。それまでの憎まれ役から、こいつが恐らく死ぬであろうことはわかるのだが、じわじわと迫ってくる恐怖の中での焦りと、此の期に及んでまだお金にご執心な愚かさみたいなものが、短い場面の中で表現されている。



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