Index
飛来する女王モスラ
レジェンダリーによる怪獣シリーズ群「モンスター・バース」の最新作、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』では女王と王という共生関係だったモスラとゴジラ。その最初の出会いと対決は、ゴジラが初めてスクリーンに登場してからちょうど10年後の1964年、『モスラ対ゴジラ』でのこと。台風で漂着した謎の巨大な卵を巡って争う人間たちのところに、南洋のインファント島から双子の小美人がやってきて、島の守護神モスラの卵を返して欲しいと訴える。卵とそこから生まれるであろう生き物を見世物に、ひと儲けようとしている興行師たちは取り合わないが、やがてゴジラが現れてパニックに。街を蹂躙しながら卵に近づいていくゴジラのもとに、ついに親のモスラが飛来して戦いが始まる。ゴジラはモスラに苦戦するが、最終的に放射熱線で巨大な蛾の翼を焼き、モスラは翼で卵を抱くようにしたまま生き絶える……。
死んだ親モスラの翼の下で、ついに卵から二匹の幼虫が生まれるシーンが印象的。ゴジラはまだこの時点では悪役というか、純粋な脅威として描かれ、それを食い止めようとするモスラがヒーロー側。もちろん、核実験によりインファント島の環境を破壊し、漂着した卵を返そうとしない人類に、モスラは完全に味方しているわけではないのだが、とにかく卵を守るため、そして小美人の願いによってゴジラと対峙する。
なんといっても見どころは怪獣対決だが、モスラが翼をはばたかせて、ゴジラが立っていられないほどの強風を起こすという攻撃がおもしろい。それほどの強風、ちょっと離れたところで呑気に見物している人間たちもただでは済まなそうだけれど、気にしない。目撃者がいなければ怪獣の存在は成立しないのだ。強風の中で体勢を崩したり、モスラに尻尾をつかまれて引きずられたり、苦戦するゴジラの挙動なども細かい。
しまいには黄色い粉を降らせてゴジラを苦しめるのだが、そういう戦い方を見ていて、なんとなくポケモンの戦いなどを連想したりもする。いわゆる怪獣プロレスはスケールの大きいポケモンバトルなのではないか。ポケモンの源流のひとつにこういった怪獣たちもいるような気がしてくる。