オリジナル要素をプラス
『ごん』には、原作に登場しない生き物もオリジナル要素として追加された。
ティザームービーにも登場する白サギ。サギの飛び姿は、頭と足が同じ高さになっていて、体だけ羽に合わせてわずかに動く。この動きをやりたくてサギを選んだという。
写真右は制作途中の状態。細い銅線をいくつもよりあわせて羽を作っているのがわかる。銅線はとても柔らかいので、しなやかな羽ばたきを表現するのに適している。
赤トンボは胴体が木彫り。透明な翅(はね)は、実はタバコの箱の外包装フィルムを使って作られている。フィルムを使うアイディアは八代監督が過去作の制作中に思いついたそうだ。接着剤で固めた跡が翅脈(しみゃく)を表現している。本物のトンボよりやや頭が大きく、何となくかわいらしい。
松虫とキリギリスは、虫嫌いの人が見たら一瞬ギョッとするのでは、と思うほどリアルな造形だ。だが、よくよく見つめてみると愛嬌がある。こちらも胴体は木彫りの質感を生かし、手足や触覚を針金で作った。脚をしっかりと張り、触覚をピンと立てる生命力にあふれた姿はいかにも山の虫らしい。
松虫は原作にも鳴き声だけ登場するが、『ごん』では少し違った役割が与えられている。どういったアレンジが加えられているか、ぜひ本編を楽しみにお待ちいただきたい。