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強烈な異彩を放つ『ゴジラ対ヘドラ』【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.27】

強烈な異彩を放つ『ゴジラ対ヘドラ』【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.27】

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ゴジラを追い詰めた強敵





 ヘドラに触れたことで海洋生物学者の顔がただれてしまったり、少年の手がヒリヒリと痛んでしまったりするのが生々しい。ヘドラがまき散らした硫酸ミストを浴びた人間は白骨化してしまうが、そういう露骨なものよりも、人々が皮膚や目を痛めたり、その場に倒れてしまったりという症状のほうがかえってリアルで怖い。硫酸で金属類がボロボロに錆びつくという描写も嫌な感じ。


 成長し、巨大化していくのもヘドラの特徴。水中期、上陸期、飛行期、完全期といった段階で進化し、そのたびに新たな能力を得てゴジラを圧倒するが、段階を踏んで成長する様子は『シン・ゴジラ』版のゴジラを連想させたりもする。そのゴジラはと言えば、力を増していくヘドラを前に苦戦を強いられてしまう。ヘドロの玉をぶつけられた部位は焼け、接近戦では怪獣王と言えども喉を痛めて首をかきむしる。しまいには右腕を溶かされて白骨化し、左目が焼けただれてしまうが、そんな姿になっても尚、恐ろしげな形相でヘドラに向かっていく。縄張りである海(あるいは地球)を汚された怒りは凄まじい。


 しかし、そのヘドラを生んだのは人類でもある。もともとは宇宙から隕石とともにやってきた鉱物生命体が、海に溜まったヘドロと合体して怪獣になったわけだが、それをここまで強くさせてしまったのは、やはり人間の所業だ。つまり、ゴジラをそこまで追い詰めたのは間接的には人類であって、ただれた顔で咆哮し睨みつけたのは、ヘドラであると同時にその向こう側にいる人類だったかもしれない。



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