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夏の終わりと『ムーンライズ・キングダム』【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.29】

夏の終わりと『ムーンライズ・キングダム』【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.29】


カーキスカウトの黄色いトランク





 色彩の一角を占めるボーイスカウトは、その制服の色からカーキスカウトと呼ばれる。島の分隊を率いるのはエドワード・ノートンが演じるちょっと間の抜けた隊長で、隊員である少年たちは同じ制服に身を包みながらも少しずつスタイルが違っていて個性豊かだ。着崩し方もそれぞれだが、黄色いスカーフの木彫りの留め具がおもしろく、ふくろうやロブスター、鳥、斧など、自分たちで作ったのか思い思いの形をしている。こういうほんのちょっとしたアクセサリーや小道具があるだけで、少年たちの小さな軍隊は繊細でかわいらしくなる。たとえ、まだ幼さの残るルーカス・ヘッジズがオートバイを乗り回していたとしても。


 小道具と言えば、スージーの黄色いトランクも印象に残る。ヴィンテージのアメリカンツーリスター(物語の時代設定から考えれば古くはなさそうだが)。実は同じ物を持っているので思い入れがあったりする。スージーはサムとの駆け落ちにこのトランクいっぱいに本を詰めて持っていくのだが、空の状態でもある程度重さを感じるこのトランク、ハードカバーの本が満載となれば相当重いはず。ましてや子猫の入った籠やポータブル・レコードプレイヤーとともにこれを持って森を歩くスージーはなかなかタフである。実用性なんて全然考えてない大荷物だが、それだけ彼女にとって大切な物ばかりなのだということが伝わってくる。



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