1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. Wの悲劇
  4. 『Wの悲劇』俳優と役の境界を超え、アイドル映画の究極として語り継がれる理由とは?
『Wの悲劇』俳優と役の境界を超え、アイドル映画の究極として語り継がれる理由とは?

(C) KADOKAWA 1984

『Wの悲劇』俳優と役の境界を超え、アイドル映画の究極として語り継がれる理由とは?

PAGES


『Wの悲劇』あらすじ

劇団の研究生で女優を目指す三田静香(薬師丸ひろ子)。劇団の次回公演である『Wの悲劇』の主役オーディションに臨むものの見事に落選。主役の座を射止めたのは同期のかおり(高木美保)だった。静香に与えられたのは端役の女中とプロンプター。。落ち込む静香はひょんなことから、元劇団員で今は不動産屋で働いている森口(世良公則)と出会う。静香に一目惚れした森口は、静香が女優になれなかったら自分と結婚して欲しいと申し込む。その後『Wの悲劇』公演が始まる中、静香は劇団の看板女優である羽鳥翔(三田佳子)のスキャンダル現場に偶然出くわしてしまう。翔のパトロンの堂原がホテルの翔の部屋で情事の最中に腹上死してしまったのである。スキャンダルが報じられることを恐れた翔は、静香に『Wの悲劇』の主役と引き換えに自分の身代わりを提案。静香は主役への執着からその提案を受け入れるのであった。。


Index


「あまちゃん」で捧げられたオマージュ


 

「領収書! 領収書! 領収書!」


 NHK朝ドラ「あまちゃん」で、大女優の鈴鹿ひろ美が、付き人になった天野アキに言い放つセリフだ。同じ単語をこうして3回繰り返すのは、『Wの悲劇』の名セリフ「女優! 女優! 女優!」への明らかなオマージュ。前者は薬師丸ひろ子が「言う」セリフで、後者は「言われる」セリフという違いはあるものの、薬師丸という共通キャストだけでなく、大女優と新人という関係性など、「あまちゃん」と『Wの悲劇』はいくつもの要素でシンクロする。「顔、ぶたないで」など他にもオマージュのセリフはあるし、薬師丸ひろ子がサングラスをかける動きが2作でそっくり……といったマニアックな共通点もある。


「あまちゃん」で描かれるメイントピックの一つが「アイドル」。「アイドル映画」というジャンルの一角を担ったのが、薬師丸ひろ子。時を超えて、この両者が交わる瞬間を目撃できるのは、なんて幸せなことだろう。


『Wの悲劇』を「アイドル映画」と呼ぶのは、ちょっと違和感があるかもしれない。しかし、トップアイドルとして国民的人気をつかんでいった薬師丸が、角川春樹事務所時代での最後の主演作である『Wの悲劇』によって、アイドルから本物の女優へと鮮やかな変貌をとげた事実は、確かな記憶として人々の心に刻まれている。



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. Wの悲劇
  4. 『Wの悲劇』俳優と役の境界を超え、アイドル映画の究極として語り継がれる理由とは?