目覚ましい実力を発揮している6人の若きメインキャストたち
もちろん筆者は、企画成立の詳しい経緯は知らない。しかし結果から類推するに、どうやら二階堂は、主演者でありつつプロデューサー的な役割も果たしたのではないか。そして先述した「大人になってしまった」という発言の真意を反転させると、彼女は作品を外から動かす客観性を身につけたってことではないだろうか。
実際、二階堂が『リバーズ・エッジ』で演じる主人公の女子高生ハルナは、この濃厚な青春群像の中で、ある種透明な中心点、最もニュートラルな存在である。ハルナは自分たちの世界の内と外を往来するような語り部的視座を持ち、必然的に二階堂の芝居の質は「受け」が基本となる。そして「攻め」に回る他のメインキャストたち。そんな構造ゆえに本作は、注目の新進・若手俳優たちの充実したショーケースにもなっている。
『リバーズ・エッジ』© 2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社
これまで紹介した二階堂ふみと吉沢亮以外のメインキャストは、以下の面々だ。笑顔の裏に鬱々とした狂気と情念をたぎらせるカンナ役には、すでに数多くの作品で活躍する実力者、森川葵。暴力と寂しさに憑かれた観音崎役には、『一週間フレンズ。』(2017年/監督:村上正典)など準主役級が続く上杉柊平。モデルのこずえ役には、浅野忠信とCharaの長女としても知られるSUMIRE。
『リバーズ・エッジ』© 2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社
また、以上の彼らより、おそらく現時点での知名度はやや及ばないものの、そのぶん今回の熱演で最も注目度を上げるのは、性的な衝動と虚無を全身で体現するルミ役の土居志央梨だろう。単にセックスシーンが多いだけでなく、「攻め」という意味では圧巻の体当たり演技を見せる。