1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. リバーズ・エッジ
  4. 『リバーズ・エッジ』日本映画界注目!新進・若手俳優たちの充実したショーケース
『リバーズ・エッジ』日本映画界注目!新進・若手俳優たちの充実したショーケース

© 2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社

『リバーズ・エッジ』日本映画界注目!新進・若手俳優たちの充実したショーケース

PAGES


『リバーズ・エッジ』あらすじ

「 若草さん、今晩ヒマ? 僕の秘密の宝物、教えてあげる」。若草ハルナ(二階堂ふみ)は、彼氏の観音崎(上杉柊平)が苛める山田(吉沢亮)を助けたことをきっかけに、夜の河原へ誘われ放置された<死体>を目にする。「これを見ると勇気が出るんだ」と言う山田に絶句するハルナ。さらに、宝物として死体の存在を共有しているという後輩でモデルのこずえ(SUMIRE)が現れ、3人は決して恋愛には発展しない特異な友情で結ばれていく。ゲイであることを隠し街では売春をする山田、そんな山田に過激な愛情を募らせるカンナ(森川葵)、暴力の衝動を押さえられない観音崎、大量の食糧を口にしては吐くこずえ、観音崎と体の関係を重ねるハルナの友人ルミ(土居志央梨)。閉ざされた学校の淀んだ日常の中で、それぞれが爆発寸前の何かを膨らませていた。そうした彼らの愛憎や孤独に巻き込まれ、強くあろうとするハルナもまた、何物にも執着が持てない空虚さを抱えていた。そんなある日、ハルナは新しい死体を見つけたという報せを、山田から受ける…。


Index


映画『リバーズ・エッジ』の企画牽引者でもあった主演・二階堂ふみ



 天才漫画家・岡崎京子が四半世紀前に発表した大傑作マンガを、驚くべき精度で実写として立ち上げた2018年の新作映画『リバーズ・エッジ』。この奇跡とも言える映画化に向けて最初に動いたのは、主演の二階堂ふみだという。


 彼女が監督の行定勲と初めて会ったのは釜山映画祭。『映画芸術』2018年冬号の行定監督インタビューによると、彼が『ピンクとグレー』を引っ提げて映画祭に参加した2015年10月のことらしい(しかし実は2014年だった、という二階堂の発言もある。彼女は同年、主演作『私の男』で釜山映画祭に参加)。それから数か月後、ふたりは東京で再会。その際に「『リバーズ・エッジ』に興味がありますか?」といきなり二階堂が本題を切り出した。「じつは映画化したいんです。でも、もう時間がないんです。自分が大人になってしまったと思っているし」と(『文藝別冊 岡崎京子 増補決定版』河出書房新社より)。ちなみに釜山映画祭で二階堂を行定監督に紹介したのは、なんと韓国きっての鬼才監督、キム・ギドクだったとのこと。



『リバーズ・エッジ』© 2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社


 二階堂は16歳の頃、ヴェネチア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞した『ヒミズ』(古谷実の傑作マンガを園子温監督が映画化)の美術スタッフから薦められて、初めて岡崎京子の原作を読んだ。この時点からすでにガチのファンから若い世代へと、岡崎京子という文化を受け継ぐバトンリレーは始まっていたのだ。


 そして約半年後、たまたま某所から彼女に『リバーズ・エッジ』映画化の企画が持ち込まれた。当時17歳、現役の高校生だった頃。しかしそれは結局、立ち消えになってしまったらしい。だが二階堂の中で火種は残り続け、やがて炎がどんどん大きくなっていったということだろう。


 また、これはいかなるめぐり合わせなのか、二階堂は岡崎京子の盟友であるミュージシャン、小沢健二とのつながりも得ていた。2015年12月に刊行されたニューヨークの新世代フォトグラファー、チャド・ムーア撮影による『near,far 二階堂ふみ写真集』(スペースシャワーブックス)に小沢がコメントを寄せていたのだ。小沢が書き下ろしの新曲「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」を提供した岡崎京子原作の映画に、二階堂が主演している――これはなんら偶然でも、単なる商業的な要請でもない。確かな信頼感に基づいたコラボレーションであることがわかるだろう。


 つまり『リバーズ・エッジ』映画化という企画を牽引し、あらゆる意味での求心力となったのは、完全に二階堂ふみなのだ。他にも、複雑な自意識とセクシュアリティを持てあます男子高校生・山田役の吉沢亮は、『オオカミ少女と黒王子』(2016年/監督:廣木隆一)で二階堂と共演している。またこの作品で音楽を務めた世武裕子も『リバーズ・エッジ』組へ参加している。



『リバーズ・エッジ』© 2018「リバーズ・エッジ」製作委員会/岡崎京子・宝島社



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. リバーズ・エッジ
  4. 『リバーズ・エッジ』日本映画界注目!新進・若手俳優たちの充実したショーケース