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  4. "格好悪い"が"カッコイイ"に反転する魔法。個性的な青春映画の傑作『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』
"格好悪い"が"カッコイイ"に反転する魔法。個性的な青春映画の傑作『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』

"格好悪い"が"カッコイイ"に反転する魔法。個性的な青春映画の傑作『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』

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映画に恋する感覚



 映画に恋をする、という感覚を久々に味わった。2017年ベルリン国際映画祭の審査員長を務めたポール・ヴァーホーヴェンが金熊賞の『 心と体と』を評して「審査員みんなが恋をした」と言い、今年のカンヌ国際映画祭では審査員のドゥニ・ヴィルヌーヴがパルムドール受賞の『 万引き家族』に「恋に落ちてしまった」とコメントするなど、あるいは陳腐化しつつある表現なのかもしれないが、それでもやはり“恋”という感覚がしっくりくる。観るたびに胸がいっぱいになり、目頭が熱くなる。観ていないときも作品のことを、登場人物たちのことを想う。


 『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』のストーリーは比較的シンプルだ。人と話すと言葉がつっかえてしまう志乃。ギターを弾くが歌うと音程を外す加代。空気を読めない言動で空回りする菊地。高校1年の新学期、3人はクラスで孤立する。校内に居場所のない志乃と加代は、校舎の裏でのちょっとした出来事がきっかけで友達になる。志乃が歌ならつっかえずに歌えることを知った加代は、一緒にバンドを組もうと誘う。志乃が歌い加代がギターを弾く「しのかよ」は秋の文化祭に向けて猛特訓を始めるが、2人の路上ライブをたまたま見かけた菊地が、自分もバンドにまぜてと言い出す。




 新しい環境にうまく馴染めず、疎外感を味わったこと。勉強や運動ができなかったり、容姿や性格にコンプレックスがあったりして、引け目を感じたこと。心ない言葉や振る舞いで人を傷つけてしまったこと。大切に思う相手から受け入れられなかったこと――。多感な時期にたいていの人が経験したであろう苦しさ、つらさ、切なさがリアルに迫ってくる。だが、そうしたネガティブな体験があるからこそ、心が通う友達できたときの幸せ、何かに夢中になることの楽しさ、自らの成長に気づいたときの喜びが一層輝く。


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