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『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』新たなるアニメの手法“クリプトキノグラフィー”を使って監督が描きたかったものとは

『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』新たなるアニメの手法“クリプトキノグラフィー”を使って監督が描きたかったものとは

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長編を一人で描き上げた新手法“クリプトキノグラフィー”



 『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』は、44歳のアニメ作家セバスチャン・ローデンバックがたったひとりで描き上げた長編アニメだ。原作はグリム童話の一篇「手なし娘」。悪魔の計略によって父親に両手を切り落とされた少女の波乱の半生を描いた、グリム童話が本来持っているダークなテイストが色濃いおとぎ話である。


 アニメ制作の常識を知る人であれば「たったひとりで長編アニメ」なんて到底ムリだと思うだろう。しかしローデンバックは長編一本分の作画を、本当にたった一人で、しかもたった一年間で終えたという。



セバスチャン・ローデンバック


 そんな奇跡のスピードを実現したのが、ローデンバックが編み出した“クリプトキノグラフィー”という手法。「クリプトグラフィー」とは暗号を意味する言葉だが、“クリプトキノグラフィー”も、一枚一枚の絵は極端に簡略化されていて、時には何が描かれているのかわからない。ところが、簡単な“なぐり描き”のような絵を並べて動画にすると、人や動物が生き生きと動き出すのだ。



 予告編を観てもらえれば一目瞭然なのだが、ディズニーや日本のテレビアニメを見慣れていると、最初はあまりの省エネっぷりに驚くだろう。ササっと筆で描いたデッサンのような絵柄で、主人公の“娘”を描く線はつながっておらず、肌や服の色が塗り分けられてもいない。しかしすぐに違和感は消える。なぜなら、ローデンバック監督が伝えたい情報や動きはすべて伝わってくるし、観客は、足りてないように思える部分を想像力で補うからだ。画面中の色数が少なくとも、われわれは、リンゴの木の緑や赤を、“娘”のなまめかしいまでの肉体の質感を、まざまざと思い描きながら観ることができるのだ。



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