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その狂おしすぎる愛の姿に、好き嫌いも激しく分かれた『ベティ・ブルー』

その狂おしすぎる愛の姿に、好き嫌いも激しく分かれた『ベティ・ブルー』


混ざり合うブルーとイエローで、愛の関係を表現


 

 タイトルの「ベティ・ブルー」はヒロインのフルネームではない。後半のブルーは、映画のイメージカラーとも言える。前述のポスターはもとより、ブルーを中心に色のマジックがあちこちに仕掛けられているのだ。夜空の濃いブルー、ベティが舐めるアイスキャンディのブルー。バンガローに塗るペンキのブルー。病室のガラスや壁まで、作品全体で、ベティを象徴するブルーの使い方が目につく。一方でゾルグはイエローである。前半のタンクトップと後半のジャケットは、ともにイエロー。思い立って購入するメルセデスの車もイエロー。タオルや病院の花などイエローは最後まで象徴的に使われる。


 そのブルーとイエローが交錯するのは、二人がピアノを弾く名シーンで、夜のブルーのしじまに、外からのイエローの光が混ざり込む。まさに二人の思いが一つになる感覚を色で表現している。ブルーとイエローの心地よい融合に、時折、レッドやピンクが挿(さ)し込まれて、観る者の心をざわめかせ、あるいは海辺の夕焼けがピンクから紫、ブルー、濃紺へとグラデーションで変わっていくさまは、まさに主人公二人の思いが溶け合う過程を連想させる。じつに「色」を意識させる作品であり、それゆえに、人によっては感情移入しづらいレベルの狂おしい愛を描きながら、どこか魅せられてしまう化学反応を起こすのだ。




 ベアトリス・ダルの鮮烈な演技はもちろんのこと、カフェオレボウルでコーヒーを飲み、ガスコンロの火でタバコを点けるなど、日常行為の妙なオシャレ感、そして、劇中の人物がサックスやピアノ、あるいは鼻歌で実際に奏でるガブリエル・ヤレドの音楽など、とにかくこの『ベティ・ブルー』には忘れがたいシーンや演出に満ちている。


 主人公ベティのごとく、有無を言わさず出会った人を虜にする魔力が、作品自体にも備わっているのだ。ゾルグのように一度はこんな風に愛に溺れたい。そんな感慨に浸らせる魔力をもった、稀有なラブストーリーである。



文:斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。スターチャンネルの番組「GO!シアター」では最新公開作品を紹介。



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© Photofest / Getty Images  

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