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『ギルバート・グレイプ』ジョニーとレオの巨大な母を演じた女優は天国へ。そして原作者の息子はスターになった。

『ギルバート・グレイプ』ジョニーとレオの巨大な母を演じた女優は天国へ。そして原作者の息子はスターになった。


息子たちの演技に、2大スターの真髄をみる



 『ギルバート・グレイプ』でダーレン・ケイツは、7年間も家から一歩も外に出ず、一日中ソファに座ったままの母親ボニー(クレジットでは役名ではなく「Momma」と記されている)を演じた。杖を頼りに歩くのがやっとで、近所の子供たちはその姿を面白がって窓ごしに眺める。冷蔵庫に貼られた若き日の写真は、ダーレン本人のものである。しかし今思えば、彼女は映画初出演にして偉大な母を演じたと言っていい。ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオという、後にスーパー級のスターとなる2人が息子役だったからだ。劇中でママは、兄のギルバートを「私の騎士(ナイト)」と、弟のアーニーを「私の太陽(サンシャイン)」と呼ぶ。




 ジョニーが演じた主人公のギルバートは、父を亡くし、24歳にして一家を支える役どころで、つねに自分のことは後回し。アイオワ州の小さな町から外に出ようという野心はない。この時期のジョニーは『 妹の恋人』(93)や『 アリゾナ・ドリーム』(93)のように、とにかく相手に尽くす役が多かったが、このギルバート役はその最たるもの。弟のアーニー筆頭に周囲の人々を優しく包み込む演技を見せつつ、家族のために騎士のごとく存在する。ジョニーの本来の魅力が詰まっている。


 そしてレオナルド・ディカプリオは今作でアカデミー賞助演男優賞に初めてノミネートされ、その後のキャリアを大きく変える役となった。18歳のアーニーは知的障害を抱え、町でいちばん高い給水タンクの塔に登ってしまうなど、日々とんでもない行動を起こし、ギルバートや家族を振り回している。そのアーニー役のためにレオは、同じ障害を抱える十代の若者が暮らす施設で数日間を過ごし、彼らと話し、行動を丹念に観察した。アーニーは水が好きではない設定なので、撮影中、レオは何日も体を洗わなかったという。いくらでも過剰に演じられるこのアーニー役で、レオはいくつかのシーンで奇跡的なほど繊細な表情をみせ、観る者の心を揺さぶることに成功した。今作と、同じ年にロバート・デ・ニーロと共演した『 ボーイズ・ライフ』によって、レオの演技派スターへの道は確定したと言っていい。




 撮影後、ジョニーはダーレン・ケイツに詫びたという。演技とはいえ、ママに対して、時にシビアな言動をとるギルバート役には、少しばかり罪の意識があったようだ。そしてレオは、2017年、ダーレン・ケイツが亡くなった際に、「僕にとって、映画の中の最高のママだった」とのコメントを出している。



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