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『ギルバート・グレイプ』巨大な母を演じた女優は天国へ、原作者の息子はスターになった

(C)1993 DORSET SQUARE FILM PRODUCTION AND DISTRIBUTION KFT

『ギルバート・グレイプ』巨大な母を演じた女優は天国へ、原作者の息子はスターになった

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『ギルバート・グレイプ』あらすじ

アイオワ州エンドーラ。この小さな田舎町をギルバートは生まれてから24年間、一度も出たことがない。彼には守ってあげなければならないハンディを負った弟アーニーがいるし、夫が死んで以来、過食症になり“浜辺に打ち上げられた鯨”のような巨体になってしまった母親ポニーがいる。町の食料品店で働き、姉や妹の文句に耐えるギルバートには、自分が本当に欲しいものなど考える余裕がなかった。そんなある日、退屈な町に不思議な風が吹いてくる。それは銀色のキャンピングカーでやってきた少女ベッキー。偶然の出会いによって二人の間に芽生える淡くスイートなロマンスは、ギルバートにひとときの安らぎを与えてくれるのだが。。。


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「家から出られない」女性が突然の映画デビュー



 2017年3月、ある女優の訃報を伝えるニュースが一部の映画サイトなどで流れた。その名は、ダーレン・ケイツ。名前だけ聞いてもピンとこないだろう。しかし、『ギルバート・グレイプ』(93)で母親を演じた女優と聞けば、その顔が思い浮かぶ人も多いはずだ。


 『ギルバート・グレイプ』で息子のギルバートに「海岸に打ち上げられた鯨」と形容されるその巨体は、彼女のありのままの姿である。ダーレンにとって、初めて出演した映画が『ギルバート・グレイプ』だった。原作者で脚本も手がけたピーター・ヘッジズは、1992年、TVのトークショー(「サリー・ジェシー・ラファエル」)で「太りすぎて家を出られない」と紹介された彼女を見て、監督のラッセ・ハルストレムとともに自宅を訪ね、映画出演をオファーした。



『ギルバート・グレイプ』(C)1993 DORSET SQUARE FILM PRODUCTION AND DISTRIBUTION KFT


 そのTVショーに出演するまで4年間も自宅の外に出なかったダーレンは、ショーの中で自身の過食症を赤裸々に告白。体重が増えすぎたあまり、骨盤内で感染症を引き起こし、2年間、寝たきり状態にもなった。その間だけで体重は70kgも増えたという。体重が270kgにまでなったときは、これ以上、食物を受け付けないように胃の形成手術まで受けている。15歳で結婚し、3人の子供がいるダーレンは、晩年は医師の指導で体重を130kgまで減らすことに成功。2017年には新作映画(『Billboard』)にも出演していたが、眠っている間にこの世を去った。69歳の生涯だった。



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