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『レディ・バード』に見る「等身大」の時代の寵児、グレタ・ガーウィグの新しさと魅力

『レディ・バード』に見る「等身大」の時代の寵児、グレタ・ガーウィグの新しさと魅力

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本年度のオスカーに王手をかけた唯一の女性監督



 今年(2018年)3月に行われた第90回アカデミー賞授賞式。年間屈指の話題作を手掛けた才気あふれる4人の男性たちに交じり、監督賞にノミネートされたひとりの女性がそこに居た。長編監督デビュー作『レディ・バード』(共同監督作としては2008年の『Nights and Weekends』がある)を引っ提げてやってきた、一般には個性派の新進女優として知られるグレタ・ガーウィグ(1983年生まれ)だ。


 現在のハリウッドはトランプ政権への猛反発に加えて、ミラマックスを設立した大物映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインへの長年のセクハラ告発に端を発する「♯MeToo」運動など、男性社会の抑圧に対するカウンターのパワーが過去最高レベルに漲っている。そんな中、グレタ・ガーウィグは、実力ある作り手として新しい勢力を象徴するポジションに堂々立っていたわけだ。




 ただし彼女はオピニオンとして活躍する数多くのセレブリティのように、何らかの突出度を誇るタイプではない。むしろ極めて「等身大」の人物像だ。


 決して飛び抜けた美人ではなく、役者としても、ぬるま湯な状況でもがく不器用なキャラクターを演じることが多い。例えばエマ・ワトソンのような子役から業界入りしているスターでもなく、逆にハードな貧困層からの叩き上げでもなく、大学在学中から関わったマンブルコアと呼ばれる自主映画シーンの出身。こういったグレタ・ガーウィグの普通っぽさは、今のフェミニズムの位相を捉えるうえで非常に重要だと思う。


 それは2014年に刊行されたハイチ系アメリカ人作家、ロクサーヌ・ゲイの名著『 バッド・フェミニスト』(亜紀書房刊/邦訳:野中モモ)が提唱した在り方と関わってくるだろう。フェミニストの台座の上に載せられたくない「欠点だらけ」の人間であるが、「それでもなおフェミニスト」だと自覚し、不平等や不寛容のない社会を本気で夢見ていること。マドンナも自身をバッド・フェミニストだと称したが、おそらくグレタ・ガーウィグこそが、本当にリアルなバッド・フェミニスト。一般のロールモデルに成り得る「等身大」の理想像をよく示している――と思うのだが、いかがだろうか?



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