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『犬ヶ島』ウェス・アンダーソンの箱庭世界とジャポニスムの必然的邂逅

『犬ヶ島』ウェス・アンダーソンの箱庭世界とジャポニスムの必然的邂逅

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実写とアニメで作家性を貫く稀有な監督



 ウェス・アンダーソンの長編監督作9作目であり、ストップモーション・アニメ映画としては『 ファンタスティック Mr.FOX』に続く2作目となる『犬ヶ島』。ウェスのように(アンダーソン姓の監督はほかにもポール・トーマス・アンダーソン、ポール・W・S・アンダーソンがいるので、本稿では親しみを込めてファーストネームで表記する)、実写とアニメーションの両方を監督する映像作家は決して多くない。大御所ではスティーヴン・スピルバーグ、ロバート・ゼメキスの名がまず浮かぶが、2人のアニメ作品(スピルバーグの『 タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密』、ゼメキスの『 ポーラー・エクスプレス』『 Disney's クリスマス・キャロル』など)は、華々しい実写監督作のフィルモグラフィーに比べると評価の面でも興行の面でも見劣りしてしまう。


 一方でウェスのアニメーション作品はどうか。まず興行面でいくと、世界興収の比較で『 グランド・ブダペスト・ホテル』『 ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『 ムーンライズ・キングダム』に次いで、すでに『犬ヶ島』が4位、さらに『ファンタスティック Mr.FOX』が5位となっている(2018年5月23日時点、 Box Office Mojoより)。『ムーンライズ・キングダム』と『犬ヶ島』の差は1,100万ドルほどなので、5月25日に公開される日本で10億円近いヒットになれば、他国の上積みと合わせて3位に浮上する可能性も十分にある。つまり、ウェスのアニメ映画は実写の代表作と並べても遜色ない興行成績をあげているのだ。


 映像表現の点でも、ウェスの実写映画に見られる“らしさ”、作家性とも言うべきものが、アニメ2作品にも横溢する。そして、ロアルド・ダールの児童文学を原作とした『ファンタスティック Mr.FOX』に対し、自身のオリジナル脚本で臨んだ『犬ヶ島』は、批評家筋からもウェス映画の集大成、最高傑作といった絶賛が相次いでいる(今年のベルリン国際映画祭では監督賞に相当する銀熊賞を受賞)。




 今回はウェスの作家性を中心に『犬ヶ島』の魅力を探っていくが、参考までに、実写とアニメで一貫した作家性を感じさせるメジャーな監督としてもうひとり、ティム・バートンの名前を挙げておきたい。同じくストップモーション・アニメの使い手であるバートンとウェスの作家性を比較すると、「陰」と「陽」、「怪」と「快」といった具合に好対照なのが興味深いものの、バートン作品についてはまたの機会に。



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