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『アリー/ スター誕生』観客もボーカルも全て本物!徹底的にリアルにこだわった

(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT

『アリー/ スター誕生』観客もボーカルも全て本物!徹底的にリアルにこだわった

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ドラマに沿ったナンバーと、心をつかむスタンダード



 さらに注目すべきは、『アリー/ スター誕生』の楽曲が、ガガやクーパーを中心に新たに創作された点だろう。もちろん複数のソングライター(ウィリー・ネルソンの息子、ルーカス・ネルソンら)との共同の曲作りだが、最も意識が注がれたのは、歌詞やメロディラインをストーリーやキャラクターの心情に寄り添わせることだった。このソングライターの中で、音楽のキャリアがないのは監督のブラッドリー・クーパーだけだったが、演じるジャクソンになりきっていた彼は「これはジャクソンの出す音じゃない」などと的確な注文を出していたという。これもレディー・ガガの証言だ。



『アリー/ スター誕生』(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT


 このようにストーリーに沿った曲作りの行程は、撮影と同時進行されたため、シーンに合わせるために曲の一部の変更が当日になされることもしばしばだったという。クーパーは、撮影現場とスタジオの往復を余儀なくされた。


 オリジナル曲がメインの『アリー/ スター誕生』で、多くの人が知るスタンダードナンバーが1曲、異彩を放つ。「ラ・ヴィ・アン・ローズ(バラ色の人生)」だ。映画の始まりで、自身のコンサートを終えたジャクソンが、とにかく飲みたくて立ち寄ったバーで、アリーが歌うこの曲は、エディット・ピアフの代表曲で、多くの歌手に歌い継がれてきたが、レディー・ガガもショーン・パーカー(Facebookの元CEOとして知られる実業家)のチャリティーコンサートなどで歌っている。このシーンは、ドラァグクイーンたちのショーという設定で、アリーのみが「女性」。ブラッドリー・クーパー監督は、かつてレディー・ガガがNYのドラァグバーで歌っていた経験をヒントに、このシーンを創作した。


 「これまでレディー・ガガとして歌った『ラ・ヴィ・アン・ローズ』とは変えて、アリーとしてのパフォーマンスを心がけた」とガガが語るように、ちょっぴり自信なさげに歌い始めながら、内に秘めた才能が顔を出し、バー全体を支配する圧倒的なエネルギーが溢れ出す。1曲の中でのこの変化は、「スター誕生」という今作のテーマをそのまま表現しており、客のジャクソンだけでなく、われわれ観客の心を一気につかむのである。



文: 斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。スターチャンネルの番組「GO!シアター」では最新公開作品を紹介。 



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『アリー/ スター誕生』

12月21日(金)全国ロードショー

ワーナー・ブラザース映画

(C)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT

公式サイト:http://starisborn.jp

ハッシュタグ:#スター誕生


※2018年12月記事掲載時の情報です。

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