(c)2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC
『ロッキー』のスピリットを受け継いだ『クリード チャンプを継ぐ男』、その真の勝者とは?
2019.01.09
ロッキーとアドニス、疑似親子のドラマを追求する
父と一緒にシリーズにふれた経験もあり、クーグラーは『ロッキー』シリーズを親子の、もしくは疑似親子のドラマとして受け止めていたという。彼はロッキーとアドニスの関係を疑似親子としてとらえ、『ロッキー』における老トレーナー、ミッキーとロッキーの関係をモチーフにして、その絆を緻密にドラマに織り込んでいった。アドニスには父アポロの記憶がない。しかしロッキーはアポロの“拳”を誰よりもよく知っていた。彼とアドニスの間にボクシングを通して親子のような絆が芽生えるのは、必然でもあった。ちなみに続編『クリード 炎の宿敵』では父と子のドラマが、より色濃く打ち出されている。
『ロッキー』(c)2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC
クーグラーは『クリード チャンプを継ぐ男』に、『ロッキー』シリーズへのオマージュを多数盛り込んだ。ロードワーク中のロッキーを応援するかのように並走する子どもたちに代わり、ランニングするアドニスをバイクに乗った不良少年たちが応援する。ニワトリを追い回すオールドスクールなトレーニングシーンや、“おまえは虎の目をしている”というセリフも『ロッキー』シリーズのファンをニヤリとさせるだろう。
『ロッキー』(c)2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC
しかし、何よりも大事なのはスピリットだ。一作目でロッキーはアポロと対戦する直前、“最終ラウンドまで立っていられたら、自分がゴロツキではないことを証明できる”と自分を振るい立たせる。同様にアドニスも私生児であることを踏まえ、“俺が「過ち」でなかったことを証明する”とロッキーに訴え、ボロボロの体で世界王者を相手にした最終ラウンドに臨む。