(c)2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC
『ロッキー』のスピリットを受け継いだ『クリード チャンプを継ぐ男』、その真の勝者とは?
2019.01.09
賞讃、そして世界の頂点へ
劇場公開後、もっとも賞賛されたのはスタローンだった。老いたロッキー像を年相応の弱さや脆さ、それでも衰えぬ闘争心とともに体現した演技は高く評価され、ゴールデングローブ賞では助演男優賞を受賞。アカデミー賞にもノミネートされたが、彼が同賞の候補となったのは一作目の『ロッキー』以来、39年ぶりだった。しかし、このころすでに、彼は本作の真の勝者が誰であるかをわかっていたようだ。「『ロッキー』シリーズは過去のものだが、『クリード』の物語は始まったばかりだ。俺があの頃に手にしたチャンスを今手にしているのは、クーグラ―のような若い人たちだよ」
『ロッキー』(c)2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC
スタローンは正しかった。『クリード チャンプを継ぐ男』に続いて、クーグラ―が2018年に監督を務めたマーベル・シネマティック・ユニバースの一編『ブラックパンサー』は、この年最高の全米興収を上げ、世界興収でもトップの座に。作品の評価も極めて高く、アメリカで繰り広げられている賞レースにも名を連ね、今後発表されるアカデミー賞での動きも注目されている。数年前は無名に過ぎなかったクーグラ―は映画監督として、ロッキーのように、そしてアドニスのように、世界の頂点に立ったのだ。
文: 相馬学
情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。
『クリード チャンプを継ぐ男』
ブルーレイ ¥2,381+税/DVD ¥1,429 +税
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
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