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『明日に向って撃て!』が出会わせた、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォード

『明日に向って撃て!』が出会わせた、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォード


友情を育んだコロラドからメキシコまで



 そんな2人のやり取りは、ロケ地がコロラド、ユタ、ニュー・メキシコと移る間も続き、ボリビアの場面が撮影されたメキシコのクエルナバカとタスコに移った時にピークを迎える。クルーのためにケイタリングされた水はすべて汚染されていたため、ニューマンもレッドフォードも紅一点のキャサリン・ロスも、全員、ソーダとアルコールを水代わりに飲み続けてオフを過ごし、同じ状態で本番に臨むしかなかった。


 そう言われると、ボリビアのシーンは確かに終末的だが、どこか酒の匂いがしないだろうか?舞台裏では、かさむ酒代を監督のロイ・ヒルが全く支払わないために、怒ったニューマンがロイ・ヒルの仕事机をのこぎりで真っ二つにしたこともあったとか。


 クランクアップ後、ニューマンはこう振り返った。「あんな楽しい仕事はなかった。だって、ボブ(レッドフォード)と2人でたっぷりと酔っ払えたんだから」と。




実現しなかった3度目の共演



 そして、2008年9月26日、そのニューマンが83歳で他界した時、レッドフォードはこう追悼している。「ポールはあの頃いきがっていた自分に寛容の大切さを教えてくれた」と。彼はまた、2人の関係は映画で描かれるブッチとサンダンスの関係そのものだったともコメントしている。それを説明するとしたら、経験値の差を同じ価値観とジョークで克服して行く愛すべきアウトロー・コンビとでも言おうか。それは続く『スティング』(73)で演じた詐欺師コンビ、ヘンリー・コンドーフとジョニー・フッカーに通じていて、生前ニューマンに出演を打診するも、健康状態を理由に実現しなかった3度目の共演作『ロング・トレイル!』でも踏襲される予定だった。アパラチアン・トレイルに挑戦する中年男2人の冒険ドラマである。



 つまり、『明日に向って撃て!』は映画自体の魅力以上に、ハリウッドの転換期をすこぶる面白くした2人の出会いが、最も大きな意味を持つのである。



文 : 清藤秀人(きよとう ひでと)

アパレル業界から映画ライターに転身。映画com、ぴあ、J.COMマガジン、Tokyo Walker、Yahoo!ニュース個人"清藤秀人のシネマジム"等に定期的にレビューを執筆。著書にファッションの知識を生かした「オードリーに学ぶおしゃれ練習帳」(近代映画社刊)等。現在、BS10 スターチャンネルの映画情報番組「映画をもっと。」で解説を担当。 



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(c)Photofest / Getty Images

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