1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. 明日に向って撃て!
  4. 笑いの影に悲しみが。バート・バカラックが『明日に向って撃て!』に仕掛けたメロディのトリック
笑いの影に悲しみが。バート・バカラックが『明日に向って撃て!』に仕掛けたメロディのトリック

笑いの影に悲しみが。バート・バカラックが『明日に向って撃て!』に仕掛けたメロディのトリック


 『明日に向って撃て!』は廃れゆく西部劇というジャンルに、ポストモダンを持ち込んだ画期的な作品だ。ポストモダン、言い換えると脱近代主義は、主に建築やデザインの分野で使われる言葉だが、映画の世界に於いて、既成の概念を全く新しい方法で打ち破った本作に対しても、この表現は妥当だと思う。


Index


第一の立役者、監督ジョージ・ロイ・ヒル



 第一の立役者は勿論、監督のジョージ・ロイ・ヒルだ。当時の20世紀フォックスのプロデューサー・コンビ、リチャード・ザナックとデヴィッド・ブラウンはロイ・ヒルの起用に懐疑的だったが、ポール・ニューマンと脚本家のウィリアム・ゴールドマンが強く推薦したために、製作者側が折れる形で監督の人選は決定する。それが、改革の始まりだった。


 ゴールドマンの脚本を熟読したロイ・ヒルは、映画を西部の雄大な景色を背景にしつつも、笑いと悲しみが相半ばするコメディドラマにしようと決意する。こうして、人生の半ばを過ぎてもなお泥棒を止められない男2人と、彼らに寄り添う1人の女性の奇妙な三角関係が、美しい西部と南米を舞台に綴られることになる。



 ロイ・ヒルの色彩感覚も画期的だ。ブッチ(ポール・ニューマン)とサンダンス(ロバート・レッドフォード)の悪行を映した古いフィルムが、コトコトと音を立てて回る冒頭のタイトルロールではセピア色に描かれる。やがて、本編が始まってブッチとサンダンスが本格的に躍動し始めると、いつしか、セピア色はカラーに変化している。さらに、朝靄が晴れて日が差し始めると、色のバリエーションが徐々に明確になってゆく。観客の目が色彩によって覚醒していくような演出は、ロイ・ヒルならではのアイデアだ。


 色に関してはその後、ブッチ、サンダンス、エッタ(キャサリン・ロス)が西部を後にして、ニューヨーク経由でボリビアに到着するまでの間、再び、カラー→セピア→カラーと変化してゆく。



PAGES

この記事をシェア

公式SNSをフォロー

新着うんちく

NEWS / 特集

人気うんちく

上映中のおすすめ作品

counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. 明日に向って撃て!
  4. 笑いの影に悲しみが。バート・バカラックが『明日に向って撃て!』に仕掛けたメロディのトリック