第二の立役者、撮影監督コンラッド・ホール
太陽の光を巧みにカメラに収めた撮影監督、コンラッド・ホール(アカデミー撮影賞受賞)が、第二の立役者だ。ホールは日中のシーンで意図的に逆光を選択、露出をオーバー気味にした上でわざと埃と煙を立たせ、眩しくうっすらと霞んだような画面を構築することに成功している。その最たるものが、伝説的な"雨にぬれても"のシーンだ。
場面の転換と撮影の効果を順番に説明しよう。サンダンスと一緒にまだベッドの中にいたエッタが、窓の外を自転車で往き来するブッチの声に起こされ、自転車の前に跨がって朝のサイクリングに出かける。そこに、"雨にぬれても"がかかる。それを待っていたかのように、太陽が輝き始める。2人を前後に乗せた自転車が通り過ぎるのを、納屋の中からカメラがパンしながら追うと、板の間から木漏れ日がまるでライトのように差し込んでくる。この放射状の光が絶妙だ。
『明日に向って撃て!』 (c)Photofest / Getty Images
ブッチの曲芸に少し飽きたエッタが、太陽をバックに髪を結い上げる。ここでのキャサリン・ロスが奇跡的なくらい美しいのは、ホールと彼女が撮影中に恋に落ち、その後結婚したことと無関係ではなさそうだ。