2017.11.11
※2017年11月記事掲載時の情報です。
『ブレードランナー 2049』あらすじ
2049年、貧困と病気が蔓延するカリフォルニア。人間と見分けのつかない《レプリカント》が労働力として製造され、人間社会と危うい共存関係を保っていた。危険な《レプリカント》を取り締まる捜査官は《ブレードランナー》と呼ばれ、2つの社会の均衡と秩序を守っていた―。LA市警のブレードランナー“K”(R・ゴズリング)は、ある事件の捜査中に、《レプリカント》開発に力を注ぐウォレス社の【巨大な陰謀】を知ると共に、その闇を暴く鍵となる男にたどり着く。彼は、かつて優秀なブレードランナーとして活躍していたが、ある女性レプリカントと共に忽然と姿を消し、30年間行方不明になっていた男、デッカード(H・フォード)だった。いったい彼は何を知ってしまったのか?デッカードが命をかけて守り続けてきた〈秘密〉ー人間と《レプリカント》、2つの世界の秩序を崩壊させ、人類存亡に関わる〈真実〉が今、明かされようとしている。
Index
“無冠の帝王”ロジャー・ディーキンスがビジュアルを掌握
SF映画の金字塔『
ブレードランナー』(1982)の35年ぶりの続編『ブレードランナー2049』(2017)。オリジナルの細密な世界観を生み出した
リドリー・スコットから監督を引き継いだのは『
ボーダーライン』(2015)、『
メッセージ』(2016)とエッジの立った作品を次々と送り出しているカナダの俊英ドゥニ・ヴィルヌーヴだ。
映画界にビジュアル革命を巻き起こしたオリジナルの世界観を継承しつつ、まったく別ベクトルの新たな地平を目指した『ブレードランナー2049』の立役者はヴィルヌーヴだけではない。御年68歳の大ベテランにして、アカデミー賞ノミネート13回の天才撮影監督
ロジャー・ディーキンスが、作品の要となるビジュアル面を掌握しているのだ。
ディーキンスといえば、1991年の『
バートン・フィンク』を皮切りに、奇才
コーエン兄弟の監督作のほとんどで撮影監督を担当してきたことでも知られている。ほかにも
マーティン・スコセッシ、
サム・メンデス、
ロン・ハワード、
M・ナイト・シャマランといった名だたる監督たちと組んでおり、ヴィルヌーヴ監督とは『ブレードランナー2049』が3度目のコラボとなる。
『ブレードランナー 2049』
先に書いた通り、ディーキンスはアカデミー賞撮影賞に13回ノミネートされているが、実はまだ一度も受賞はしていない。2007年には『
ノーカントリー』と『
ジェシー・ジェームズの暗殺』で2本同時にノミネーションを受けており、票が割れたためオスカー像を逃した、とも言われているが、単にめぐりあわせの問題だろう。新作ごとに「今度こそ受賞か?」と言われ続けているが、さすがに『ブレードランナー2049』は受賞確実ではないか*。ファンとしてそう思わずにはいられないほど、今回のディーキンスの仕事はずば抜けているのだ。 *その後、本作で見事アカデミー撮影賞受賞!