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今やアカデミー賞監督!『メリーに首ったけ』に見るピーター・ファレリーの原点とは?

(C)2016 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

今やアカデミー賞監督!『メリーに首ったけ』に見るピーター・ファレリーの原点とは?

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イヤなヤツもいいヤツもいる、そんな世界から見える差別意識



 本作には注目すべき、もうひとつのポイントがある。それは障碍のある者の描写だ。障碍のあるメリーの弟や、脚の悪い恋敵(実はそうではないのだが)の描写は「障碍者をバカにしている」と良識にこだわる人々の不評を買ったが、それは映画を正確に見ているとは思えない。この映画に登場する、すべての人物は平等にバカ者だ。人間は健常者であろうと、障碍者であろうと、愚かなことをするし、正しいと思うことをする。イイヤツもいれば嫌なヤツもいるのは健常者も障碍者も同様で、本作には車椅子生活を強いられている嫌味な男も登場する。


 ファレリー兄弟によると、このような描写にクレームを付ける多くは健常者で、障碍者の多くにはむしろ好評とのこと。こういう話を聞くと、差別意識について嫌でも考えさせられる。ちなみに、『ふたりの男とひとりの女』(00)『愛しのローズマリー』(01)『ふたりにクギづけ』(03)などの兄弟の後の作品でも、人間の差別意識に一石を投じる描写が垣間見られる。



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 「本作は基本的に、昔からあるラブストーリーの基本に則ったもの」とファレリー兄弟は語る。そのうえに立ち、現代的な下ネタをまぶし、さらに人間の差別意識にも一石を投じたのが本作だ。テッドは心の優しさの一方で、何かと人のせいにするダメな人間だが、ロマンスの悪戦苦闘を通して成長する。これは人種差別に言及した『グリーン・ブック』にも通じる構造とテーマだ。それはいわば、下品なギャグを排除して見えてきた、ピーター・ファレリーの監督としての本質なのかもしれない。



文: 相馬学

情報誌編集を経てフリーライターに。『SCREEN』『DVD&動画配信でーた』『シネマスクエア』等の雑誌や、劇場用パンフレット、映画サイト「シネマトゥデイ」などで記事やレビューを執筆。スターチャンネル「GO!シアター」に出演中。趣味でクラブイベントを主宰。



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