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狂気はジョーカーだけではない!ゴッサム・シティ犯罪者ガイド【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.32】

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カレンダーマン / マッドハッター / ヒューゴ・ストレンジ





・カレンダーマン

 ヴィジュアルとストレートな名前がいい感じのカレンダーマンは、日付にこだわる犯罪者。本名はジュリアン・グレゴリー・デイ。ジュリアンがユリウス暦、グレゴリーがグレゴリオ暦で苗字がデイというわけで、曜日や記念日、祝日に執着するようになり、それらにちなんだ犯罪を行う。作品によってはシンプルな外見になったこともあるが、やはり身体中日付に覆われたカレンダー衣装のほうがポップである。代表的なヴィランのみならず、マイナーな悪役も多数登場する『レゴバットマン ザ・ムービー』は、このカレンダーマンもしっかり出てくる。


・マッドハッター

 ルイス・キャロルの児童文学に取り憑かれ、自分をその登場人物である帽子屋だと思い込んでしまった神経科学者ジャービス・テッチは、怪人マッドハッターとなる。ジョン・テニエルによる挿絵にそっくりな外見で、体型とは不釣り合いな大きなシルクハットの中には、哀れな犠牲者を操ったり、バットマンを狂気のティーパーティが開かれるワンダーランドに招待するためのマインドコントロール装置が仕込まれている。「不思議の国のアリス」の世界と現実との区別がつかなくなっているというあたり、狂気のレベルがほかのヴィランたちとは一線を画しており、子どもに危険な執着心を見せる一面なども手伝って、ゴッサム世界観の暗さや不気味さを担うキャラクターのひとりと言える。こういう文学作品やおとぎ話からの引用があるのもシリーズの魅力のひとつと言える。


・ヒューゴ・ストレンジ

 DCコミックスにおける「ドクター・ストレンジ」は、外科医ではなく犯罪心理学者、魔術師ではなくマッド・サイエンティスト。その優れた頭脳を駆使してバットマンの正体を探求し、闇の騎士の秘密を解き明かした恐るべき人物。バットマンの正体というのは、もちろんゴッサムの悪党たちの一番の関心ごとであり、それが物語の動力になることも少なくない。ストレンジはその秘密を暴いた最初の悪役であり、それだけにバットマンを頭脳や心理で追い詰める強敵とされている。映画にはまだ登場していないが、ドラマシリーズ「ゴッサム」では『ジュラシック・パーク』シリーズの悪の科学者ウー博士でおなじみ、B・D・ウォンが演じているほか、ビデオゲームの「アーカム・シティ」では、スラム街を丸ごと大きな刑務所に作り替えたアーカム・シティを支配し、バットマンであると知りながらブルース・ウェインを追い詰める強大な敵として描かれた。


 バットマンのヴィラン紹介は次回も続く……。



イラスト・文:川原瑞丸

1991年生まれ。イラストレーター。雑誌や書籍の装画・挿絵のほかに映画や本のイラストコラムなど。「SPUR」(集英社)で新作映画レビュー連載中。 

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