横浜流星出演のおすすめ映画(2019)
4.『チア男子!!』(19) 監督:風間太樹 118分
2019年は、横浜の存在感が一気に増した年となった。ドラマ『初めて恋をした日に読む話』、映画『愛唄 約束のナクヒト』『L♥DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』が連続で世に放たれ、注目度は急上昇。そんなさなかに公開されたのが、この『チア男子!!』だ。
「桐島、部活やめるってよ」「何者」で知られる小説家、朝井リョウが母校を題材にしたスポーツ青春小説を映画化。チアリーディングに青春全部をぶつける男子大学生たちの猛特訓の日々を、爽快感あふれる筆致で描いている。
身体能力の高さに定評のある横浜だが、本作では3ヶ月の訓練を積み、全身を必要とするチアの技をマスター。高所で繰り出す、危険度の高い大技にも挑戦している。
一方、役作りにおいてはチアの鉄則である「笑顔」を心がけたそうで、劇中では「人に寄り添い、応援する」まっすぐな主人公に“笑顔増量”でなりきっている。横浜の身体的なポテンシャルが、フルに発揮された映画といえよう。
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5.『いなくなれ、群青』(19) 監督:柳明菜 105分
『チア男子!!』がフィジカル面の実力を見せつけた映画だとしたら、メンタル面の表現力を発揮したのが『いなくなれ、群青』だろう。青春ミステリーという新たなジャンルに、果敢に挑戦している。
人口2000人ほどの「階段島」。島内の住人たちはみな過去の記憶をなくしており、「失くしものが見つかると島から出ていける」というルールを受け入れ、平穏に暮らしていた。主人公の男子高校生(横浜)も、謎だらけの島に不可解な想いは抱きつつも、不自由さを感じることはなかった。幼なじみ(飯豊まりえ)がこの島にやってくるまでは……。
小説の世界観を引き継いだ詩的で文芸的なセリフ、異様な空間の中で超然、或いは達観した人物であり続ける、ミステリアスな雰囲気を声や佇まいからも感じさせるなど、正解やヒントが見つけにくい難役を、彼以外には考えられないほどに奥深く演じてみせた横浜。本作は、彼の大いなる進化を感じさせる一作となった。
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この数年の出演作をさらってみるだけでも、作品ごとに全く違った顔を見せるほどに、横浜の「潜在力」は計り知れない。
今後は、心に傷を抱えるキックボクサー役で、吉高由里子と共演する映画『きみの瞳が問いかけている』(20)、愛憎関係に陥ってしまった幼なじみの再会を描く、浜辺美波との共演ドラマ『私たちはどうかしている』(20)、剣豪・宮本武蔵役に挑む舞台『巌流島』(20)など、話題作が目白押し。
横浜流星の成長速度は、まだまだトップギアには達していない。過度な期待を全部超えてくれそうな若武者には、無限の可能性が詰まっている。
文: SYO
1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」「シネマカフェ」「BRUTUS」「DVD&動画配信でーた」等に寄稿。Twitter「syocinema」