覚悟が見えた長澤まさみ
Q:その難しい女性の役を、長澤まさみさんが見事に演じ切っていましたが、長澤さんとのお仕事はいかがでしたか。
大森:まず長澤さんが、この脚本を選んでいる時点で、何か覚悟が見えましたね。彼女がこれまで築いてきたものを踏まえた上で、共感を得られるかさえ分からない女性を演じることに挑むということに、リスペクトしました。
それに自分も乗っかってみたいと思いつつ、やっぱりちょっと怖い部分はありましたね。長澤さんと僕とでは、映画界でのこれまでの育ち方が全然違うので、どういう風になるかは興味半分、恐ろしさ半分みたいな感じでした。
Q:阿部サダヲさんが演じる内縁の夫役も、意外でしたがハマっていたように思います。
大森:阿部さんには勝手に親近感を持っていたので、そんなに心配はしてなくて。この役はまともにやると重すぎて、そういう男性像は見たくなかったので、阿部さんが演じてくれたように、どこか滑稽でキャンキャン吠えてる感じを求めていました。
Q:そして、周平を演じた奥平大兼くんですが、映画デビューとは思えないほど圧倒的に素晴らしかったです。役作りなど本人とはどのようにお話しされたのでしょうか。
大森:本人に初めて会ったのは、撮影の三ヶ月くらい前でした。演技は初めてということもあり、撮影までは一緒に演技の練習をしてましたね。その中で、心配が増えていったり、少しずつ良くなったり、行ったり来たりしていたのですが、いざ撮影が始まると何か現場のマジックみたいなのが働くんですよね。長澤さんや共演者たちも、すごく上手に接してくれたし、奥平は今回はすごく恵まれてたと思いますね。
Q:大森監督もうまく接した感じですか。
大森:子供得意ですから(笑)。一緒になって「どうする、やっベーぞ」って、監督の威厳みたいなのあんまりないですけど(笑)、「やるぞオラー」みたいなノリでやるので、楽しかったですよ。
Q:勝手なイメージですが、現場の大森監督は怖いのかなと(笑)。
大森:それ、みんなに言われるんですけど、全然そんなことないですよ(笑)。この映画でも待ち時間は普通にキャッキャッしてましたね。