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やっぱりアウトサイダーを撮るのが好きなんです『MOTHER マザー』大森立嗣監督【Director’s Interview Vol.66】

やっぱりアウトサイダーを撮るのが好きなんです『MOTHER マザー』大森立嗣監督【Director’s Interview Vol.66】

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アウトサイダーを撮り続けたい



Q:音楽の岩代太郎さんとも初タッグかと思いますが、いかがでしたか。


大森:岩代さんはスターサンズの映画音楽を多く手がけられていて、それがご縁でご一緒することになりました。岩代さんの音楽は少し仰々しすぎるのかなって印象が少しだけあったのですが、自分の感覚や音楽を入れたい場所を正直に伝えましたね。


「普通はこういうところに音楽は入れないよね。でもここに入れたいってことは、こんな感じなのかな」って、そういう会話をしながら、探りながら進めてくれました。僕は楽しかったですし、岩代さんも楽しそうにやってくれた気がしますね。


Q:大森監督もかなりベテランの域に入られてきて、生み出すものの感じが変わってきているように見受けられますが、映画製作の向き合い方など、ご自身の中で変わってきたものはあるのでしょうか。


大森:映画を撮り始めて、一本目、二本目くらいまでは、やっぱり自分自分ってちょっと強すぎになっちゃうんですよね。やっと映画監督になれたし、何か現場で色々言わなくちゃいけないんじゃないかみたいな、ちょっと力が入り過ぎてた感じはすごくありますね。


これまで本数を重ねてきて、スタッフが言うことにちゃんと耳を傾けたり、俳優さんに対して委ねるものが大きくなったりしていく中で、それでもちゃんと自分の作品になっていくんだっていう感じと、そういうことが大事なんだって、やっと気づいたかなと。


映画っていうのは、外に向かっていく力がすごくて、不特定多数の人が見てくれる訳じゃないですか。まして長澤さんが出る映画となると、自分でもわからないところまで、映画が広がっていく可能性もあったりするわけです。そう考えていくと、自分の思いだけを前面に出すのではなく、人の意見を入れつつ、自分の考えを通しつつっていう風に作った方が、何かうまくいくような気が、今はしていますね。




Q:それを踏まえて、今後はどういった映画を作っていきたいですか。


大森:僕の中では基本的に、アウトサイダーというか、社会の外側にいる人を撮るのがやっぱり好きなんですよ。社会の外側にいる人は道徳とか法律とか、社会で作られたものに規制されないですよね。そういう人たちの方が、映画の中では魅力的に映る瞬間が多いんじゃないかなって、思うところがあるんです。


例えば愛を撮りたい時に、愛は道徳で語れないし、法律じゃ語れないじゃないですか。その外側にあるからこそ、愛に興味があると思うんです。『日日是好日』なんか分かりやすくて、お茶室自体が社会の外になってますよね。『セトウツミ』(16)で言えば、河原が自分たちだけの外側の世界なんですよね。


やっぱりそういう人たちに、自分は興味があるんだなって思うので、今後もそこはあんまり変わんないと思いますね。まあでも、どうなるか分からないですけどね。



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監督・脚本:大森立嗣

1970年9月4日生まれ、東京都出身。大学時代に自主映画を作り始め、卒業後は俳優として活動しながら荒井晴彦、阪本順治、井筒和幸らの現場に助監督として参加。2001年、プロデュースと出演を兼ねた奥原浩志監督作『波』が第31回ロッテルダム映画祭最優秀アジア映画賞“NETPAC AWARD”を受賞。その後、荒戸源次郎に師事し、『赤目四十八瀧心中未遂』(03)の参加を経て、2005年に『ゲルマニウムの夜』で監督デビュー。そして『さよなら渓谷』(13)で、第35回モスクワ国際映画祭コンペティション部門の審査員特別賞を受賞。近年の監督作品は『セトウツミ』(16)、『光』(17)、『日日是好日』(18)、『母を亡くした時、 僕は遺骨を食べたいと思った。』(19)、『タロウのバカ』(19)など。公開待機作に『星の子』(2020年公開予定)がある。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。






『MOTHER マザー』

2020年7月3日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

(c)2020「MOTHER」製作委員会

配 給:スターサンズ/KADOKAWA

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