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映画って、いろんな人の手が入るから面白いと思うんです『君が世界のはじまり』原作/監督:ふくだももこ×脚本:向井康介【Director’s Interview Vol.71】

映画って、いろんな人の手が入るから面白いと思うんです『君が世界のはじまり』原作/監督:ふくだももこ×脚本:向井康介【Director’s Interview Vol.71】

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悩まない監督と悩むカメラマン



Q:今回は画もすごく印象的で良かったです。撮影監督の渡邊雅紀さんは、今回が長編商業映画デビューなんですね。


ふくだ:そうです。まだ26歳です。


向井:彼、そんなに若いの!?


ふくだ:若いです(笑)。


向井:もう少し年上かと思った。すごいね。


Q:今回、渡邊さんに撮影をお願いした理由を教えてください。


ふくだ:私も監督で参加した『21世紀の女の子』(19)というオムニバス映画があるのですが、その中で私が面白いなと思った2本が、たまたま渡邊君が撮影してたんですよ。


Q:それはどの作品ですか。


ふくだ:山中瑶子監督の『回転てん子とどりーむ母ちゃん』と、首藤凜監督の『I wanna be your cat』です。面白いと思った作品が同じカメラマンだったっていうのは、彼の撮影が好きだったんだと思いますし、いつも自分が撮る画の感じと渡邊君の撮る画が違っていたので、今回新しい雰囲気を入れたいという思惑と合致したんです。また、年下の人とやってみるっていうのも面白いかなと思い、オファーしました。


今回の撮影はあまり時間もなく、群像劇で人物が多いこともあって、私がカット割に手が回らないことが多かったんです。そんな時は、私は演出に専念して、カット割は渡邊君にお任せしたのですが、それも良かったですね。私は全然悩まないんですけど、雅紀君は悩むの趣味なんか?っていうくらい現場が終わってからも悩んでました。


お酒飲みながらも悩んでるんですよ。「今日のあのカットが…」とか言って。それが面白かったですね。でも、悩まない監督と悩むカメラマンというのも良いよなって思いました。


Q:悩まない監督と悩むカメラマン。そうですね、普通は何か逆のような気もしますね。


ふくだ:現場はカメラマンの方が引っ張っていくことが多そうですけどね。ほんま趣味か!?ってくらい悩んでましたね(笑)。




Q:渡邊さんは編集もされるんですよね。


ふくだ:彼が新世代だなって思うのは、撮りながらもう編集のことを考えてる。編集が好きらしいんです。そのために画を撮ってる。今回彼は撮影だけだったのですが、完成した映画を観たとき「脚本と編集と音楽にはどうしたって敵わない…」と言って、打ちひしがれてました。


向井:画、良かったよ。伊尾と純が喋る立体駐車場のところとか、良いよね。


ふくだ:あのシーン、良いですよね。


Q:画はすごく印象的で良かったので、今回質問させてもらったんです。 


ふくだ:良いですよね。言ってあげてください(笑)。


Q:最後の質問です。キャリアもそれぞれ違うふくだ監督と向井さんですが、今後はどういった映画を作っていきたいですか。


向井:どんな題材を扱うにしても、できるだけ自分のオリジナリティを出せるようなものをやっていきたいですね。この年になると、あと何本かなって考えるんですよ。30代までは、選んだりせずに修行だと思って何でもやってきたのですが、40代からは、ちょっと選んでいこうかなって思っていますね。


ふくだ:今回が高校生の話だったので、次は大人の女の人の話で、且つ社会的なものをやりたいですね。


向井:それは映画?


ふくだ:映画か演劇。どっちもやりたい。


向井:小説ではないんだ。


ふくだ:小説ではないです。


Q:そういう選択肢があるんですね。


ふくだ:そうです。楽しいですよ(笑)。



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原作・監督:ふくだももこ

1991年生まれ、大阪府出身。2015年、若手映画作家育成プロジェクト(ndjc)に選出され、短編映画『父の結婚』を監督、脚本。2016年、小説「えん」がすばる文学賞を受賞し小説家デビュー。2017年、小説「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」を発表。2019年、山戸結希企画・プロデュースのオムニバス映画『21世紀の女の子』で「セフレとセックスレス」を監督。また、『父の結婚』を自らリメイクした『おいしい家族』で長編監督デビュー。TVドラマ、舞台演出など幅広い分野に活動を拡げている。



脚本:向井康介

1977年生まれ、徳島県出身。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業。脚本を手掛けた作品は、『リンダ リンダ リンダ』(05)、『マイ・バック・ページ』(11)、『ふがいない僕は空を見た』(12)、『もらとりあむタマ子』(13)、『陽だまりの彼女』(13)、『聖の青春』(16)、『愚行録』(17)など多数。2018年、初の長編小説となる「猫は笑ってくれない」を発表。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。






『君が世界のはじまり』

2020年7月31日よりテアトル新宿ほか全国ロードショー

配給: バンダイナムコアーツ

(c)2020『君が世界のはじまり』製作委員会

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